「ぴあ」が部数を偽装、他の出版社は大丈夫? 担当編集者による印刷部数詐称が内部告発で表面化
問題の編集者は、興業プロデューサーとしても、雑誌や書籍の編集者としても数々の輝かしい実績を持ち、矢内社長からの評価も極めて高いといわれる人物である。
「告発文には、“早く契約終えて、カネ払っちゃえばスターダストもわかりゃしねーよと得意げに笑いながら言っていた”というくだりがある」(スターダスト広報部)というから、もしこれが事実だとすれば、担当編集者はスターダストをそうとう、見下していたことになる。
だが、たとえ一人の編集者が感情に任せて不正を働こうとしても、内部統制が正常に機能していれば、経理で印刷会社への支払い根拠と著者への支払い根拠が異なることに気づくはずだ。
「出版契約書も6万部のまま」(スターダスト広報部)だから、契約書のチェック体制も機能不全に陥っているのは明らか。「ぴあの内部統制には重大な欠陥がある」(内部統制に詳しい山口利昭弁護士)。
「取次から裏をとって、ぴあに抗議をしたのが9月上旬。それから1カ月以上経って、数枚の紙を持って矢内氏が弊社の社長を訪ねてきたが、納得のいく説明ではなかった。当方が独自に解明すると言って帰ってもらったが、その日の夕刻、突然あのリリースが出た。内容は矢内氏が持参したものとほぼ同じだった」(スターダスト広報部)。
スターダストは「刑事告訴を検討中」であり、公表から数日後、ぴあから振り込まれた4万部相当の印税を返金した。ぴあは支払いの意思があるので、返金されたお金は供託している。ぴあは14日に特別調査委員会の調査結果を公表。それによると、印刷部数と契約部数との間に齟齬があったものが20点判明。社外・非常勤を含む全取締役が、報酬月額の5%を3カ月、自主返納することになった。
今回の一件は、業界に潜む落とし穴を垣間見せたといえる。出版社が公称する印刷部数には偽装の余地がある、ということだ。
ぴあのような上場会社で今回の事件は起きた。世にある大手出版社のほとんどは未上場であり、厳しい内部統制の仕組みがない会社も多いはず。ぴあの事件を他山の石として、社内をチェックしてみるべきだろう。
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