50代なら「太ってなくても糖質制限」の理由 医師が教える「病気と老化を予防する」食事

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ところが、この大切な抗酸化反応も、高血糖や高インスリンなどにより邪魔されてしまうのです。たとえば高血糖があると、タンパク質にへばりつき、SODなどの酵素の働きを阻害したりするのです。

そして、酸化反応が抗酸化反応よりも大きい状態が、酸化ストレスなのです。酸化ストレスのせいで、人の身体にはさまざまな悪影響がもたらされてしまいます。

現在、酸化ストレスは、老化、がん、動脈硬化、アルツハイマー病、糖尿病合併症、パーキンソン病など、嫌な慢性病ほとんどの元凶ではないかと言われています。逆に、糖質を減らせば、がんやアルツハイマーなどの予防になる可能性が極めて高いということになるのです。

中高年になってくると基礎代謝も落ち、運動量も少なくなり、SODも減っていきます。年齢が上になればなるほど酸化ストレスに対応する力が弱くなるのです。

基礎代謝が落ちるということは、筋肉が減ってブドウ糖の取り込みが弱くなるということなのです。そのため血糖値が上がれば、さらにSODの働きが障害されます。

だからこそ、血糖値を上げない食事(糖質制限)が、中高年からの健康にはますます重要度を増すことになるのです。糖質制限は、酸化ストレスを減らすのです。

高血糖でAGEs(終末糖化産物)が蓄積する

もう1つ、糖質制限の有効性を理解するのに重要なキーワードが、「AGEs(エージーイーズ):終末糖化産物」です。

たとえば、10年間糖尿病で高血糖の状態にあった人が、最近になって糖質制限食を始めて血糖値が完全に正常になったとします。しかしそれでも、2年後に動脈硬化による合併症になるような場合があります。これは、血糖値の高かった10年間で生み出されたAGEsが、すでに動脈硬化を起こしており、血糖が正常になった後でも残ってしまうからです。この動脈硬化の存在が、合併症を引き起こしてしまうからです。

このように、かつての高血糖がずっと後に悪影響を及ぼすことがあり、この現象は「高血糖の記憶」と呼ばれています。たとえれば、現在は黒字の会社に、過去の大きな借金が残っているため、今も苦しまなければいけないのと同じです。

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