50代なら「太ってなくても糖質制限」の理由 医師が教える「病気と老化を予防する」食事

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このように、糖質をたくさんとると身体に悪いという研究結果が次々に出されていて、健康のためには糖質を制限することが必要だという認識はますます世界に広がっています。アメリカ糖尿病学会は2013年10月、「栄養療法に関する声明」において、糖質制限食を糖尿病治療食の1つとして地中海食などとともに公式に認めました。このことは日本の糖質制限食普及において非常に大きな援軍となりました。

そして、アメリカでも日本でも2015年には、食事中の脂質(コレステロール)の摂取基準を撤廃しているのです(「栄養」について知らない「栄養士」が多すぎる)。

ところで、なぜ糖質をとると身体に悪いのでしょうか。その理由の1つは、「酸化ストレス」にあります。

糖質を食べると血糖値が上がります。三大栄養素(脂肪、タンパク質、糖質)のうち、血糖値を直接上げるのは糖質だけなのです。そして、糖質摂取で血糖値が上がると、インスリンの分泌も増えます。糖質摂取による食後の高血糖もインスリンの過剰も、活性酸素を増加させ、ともに酸化ストレスを増してしまうので、人の身体によくないのです。

酸化ストレスとは、わかりやすく言えば「身体がさびること」です。

鉄が赤くさびてしまうように、身体の中の血管がさびていくのが酸化なのです。酸化ストレスとは、体内がさびやすい状態にあることなのです。

現在、酸化ストレスは、医学界で注目され、万病のもとではないかと疑われています。

がん、動脈硬化などの元凶となる酸化ストレス

そもそも人の身体は、酸化反応と抗酸化反応がバランスよく保たれていると、健康だと考えられています。しかし、高血糖があると活性酸素が発生して酸化反応が強くなります。そして、過剰な活性酸素は細胞を傷つけてしまうのです。

ただし、人が生きていくかぎり、活性酸素の発生は止められません。呼吸で酸素を取り込むだけである程度の活性酸素は出ますし、細胞がエネルギーを得るときも活性酸素は出ます。そこで、人の身体にはSOD(抗酸化酵素)による抗酸化反応というものがあります。またビタミンなどにより、抗酸化の働きが生まれ、活性酸素が悪影響を与える前にクリアします。

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