株価は2019年半ばにかけて大きく下落する 日経平均は当初予想より早く天井をつけた?
こうした諸点を踏まえると、今回のアメリカの株価急落は、「短期的には」行き過ぎであると考えている。連れ安した日本株も、目先まだ波乱が続いても、いったんは上昇するだろう。
「今年2月のアメリカ株の下落局面と同様だ」という指摘も聞く。だが、アメリカ株について、企業収益と株価を比較する指標である予想PER(株価収益率、S&P500指数の12カ月先予想ベース、ファクトセット調べ)をみると、2014年以降は15~17倍のレンジで主に推移していた。
ところが2月上旬は、18.5倍と、レンジ上限を大きく超えるレベルまで、上昇していた。つまり当時のアメリカ株価は、企業収益水準と比べて明らかに株価が買われ過ぎで、それが大きな調整に転じたのは自然だったと言える。
では、今回はどうか。株価急落直前週だった10月5日(金)の平均値では、予想PERは16.8倍と過去の推移のレンジ内に収まっていた。これは、割安とは言い難いが割高でもなく、今後(年内は)大きな株価調整が続く必要は薄いと見込まれる。
それでも来年央にかけては「世界的株安」を予想する
加えて、アメリカでは、先週末から、7~9月期の企業収益決算発表が本格化し始めた。同期の税引後利益前年比は、元々の企業の実力で約1割増益のところ、法人減税でさらに1割分上乗せされていると推察される。日本でも、アメリカにやや遅れて10月下旬から11月上旬を中心に、4~9月期の決算発表が始まるが、堅調な半期実績やこれまでの慎重な円相場見通しを踏まえて、企業側が自社の収益見通しを上方修正してくると期待される。こうした企業収益実態の確かさが、日米ともに11月にかけての株価を支えそうだ。
ただ、冒頭述べたように、日経平均株価が今から11月までに、年内の最高値を奪回することは難しくなったと言わざるを得ない。なぜなら時間的な問題もあるが、来年央にかけてのアメリカ景気の悪化を、すでに足元のアメリカ株式市場が、先取りして懸念し始めた可能性があるからだ。アメリカ経済が悪化すると考える理由は、前回コラムと変わらず、次の3つだ。
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