株価は2019年半ばにかけて大きく下落する 日経平均は当初予想より早く天井をつけた?

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(1)現在のアメリカ経済は、小売売上高や鉱工業生産の増勢に示されているように、内需・非製造業も、輸出・製造業も好調だ。この好調な経済に、今年初から、法人減税が上乗せされている。この「強すぎる景気」の反動が2019年に生じても、おかしくはない。

(2)足元の強い景気に対応するため、米連銀は利上げを進めてきたし、今後もさらに進めるだろう。

金利敏感セクター(主に借り入れによる購入に頼っている産業分野)では、自動車販売も、住宅着工も、変調ともみられる動きを示し始めている。こうした怪しげな動きは、まだ本格化していないが、先行きさらに悪化の様相が強まる恐れがある。

(3)アメリカのトランプ政権の対中関税引き上げなど、保護主義的な動きは主として7~9月から実施されているが、その悪影響が、(足元7~9月期のアメリカ企業の決算ではなく)先行きになって、本格的にアメリカ経済や企業収益に影を落とすと予想する。

下落基調入り前の上昇局面か

アメリカ株価の企業収益に対するバリュエーション(割高か割安かの評価)は、前述のように足元は決して割高ではない。しかし、企業収益の増益基調が減益へと暗転する情勢となれば、PER水準が一定でも、妥当な株価水準は低下し続けることとなる。

一方、日本株は、予想PERでみると、むしろかなり割安だ。これが目先の株価反発を支えようが、来年央にかけて、本格的にアメリカ経済が悪化すれば、日本企業の収益実態も悪化へ向かう恐れが強まる。加えて、アメリカの景気後退を受けて、米株価が下落し米ドルも対円で下落(円高)となれば、日本株が高値を維持することはかなり難しいだろう。

こうした大きな流れのなかで、今週の日本株は、来年央に向けての株価下落基調入り前の、いったんの株価上昇局面だと位置づけたい。ただし先週までの株価の急変で、投資家のポジションも心理も傷んでおり、下値不安が残る。その一方で、アルゴリズム取引で短期的に売った筋が、やはり短期的に買い戻しを行なう展開も想定される。したがって、日経平均の動きはかなり上下に荒くなるだろう。今週の日経平均のレンジとしては、幅広いが2万2300~2万3300円を予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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