30~50代が「親の介護」で職を突然失う苦悩 毎年10万人が介護を理由に仕事を辞めている
介護していることを会社に報告すると、昇給や昇格に影響するのではないかと考えて、中には介護していることを会社に言わない人もいるようです。「介護が始まると、勤務中でも介護関連の電話が頻繁にかかってきて、仕事に支障が出ることも...。欠勤や遅刻、早退が増え、不真面目だと誤解されることもあるようです。
会社に黙っていることで肉体的、精神的に余計な負担がかかり、介護離職に至るケースも考えられます」会社の理解がなければ、仕事と介護の両立は難しいといえます。介護のことを会社に伝えると、介護と仕事のバランスを取るための各種制度を利用できるのです。実際に利用できる制度は、勤務形態によって異なる場合があります。
介護しながら働くための国や会社の制度
介護休業
・要介護状態にある家族(※)1人につき通算93日まで3回を上限として取得できる。
・一定の要件を満たせば、介護休業給付金(月額)として「休業開始時賃金日額×支給日数(30日)×67%」が支給される。ただし介護休業中に賃金が支払われている場合は、その分、減額される場合がある。
介護休暇
・要介護状態にある家族(※)が1人なら年に5日まで、2人以上なら年に10日まで1日単位または半日単位で取得可能。
所定労働時間の短縮
・事業主は介護休業とは別に要介護状態にある家族(※)1人につき利用開始から3年間で2回以上((4)を除く)(1)短時間勤務、(2)フレックスタイム制、(3)時差出勤制度、(4)介護サービス費の助成のどれかの利用を可能にしなければならない。
※2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態の配偶者、父母、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹など
時間外労働の制限
・1カ月に24時間、1年に150時間を超える残業の制限を請求できる。1回の請求で1カ月以上1年以内の期間を指定でき、請求回数に制限はない。
所定外労働の制限
・残業の免除を請求できる。1回の請求で1カ月以上1年以内の期間を指定でき、請求回数に制限はない。
深夜業の制限
・午後10時から午前5時の深夜勤務の制限を請求できる。1回の請求で1カ月以上6カ月以内の期間を指定でき、請求回数に制限はない。
勤務先との労使協定によっては、雇用期間1年未満(介護休暇は雇用期間6カ月未満)の労働者など、制度を利用できない場合がある。
出典:厚生労働省のホームページを基に作成