中村さんのお子さんは、勉強という“作業”がつまらないために集中ができないものと思われます。勉強に集中させるには、「面白い」「楽しい」「ワクワク」をベースに勉強する仕掛けを組み立てていくのがよいのですが、その仕組みを家庭でつくることは容易ではありません。
また、子どもをやる気にさせる言葉がけも有効ですが、親はモチベーションの専門家ではないため、なかなかうまくいかないのが実情ではないでしょうか。それでもなんとかやらせようとしますが、嫌がる子に無理やりやらせるため、長続きすることも難しいでしょうし、親のほうも疲れてしまうことでしょう。
そこで、ぜひ知っておいてほしいことがあります。それは子どものタイプによって、取るべきアプローチ方法が異なるということです。
子どもには大きく分けて2つのタイプがあり、そのタイプに合ったやり方でアプローチをしないと、人は積極的に行動しないのです。
筆者はこれまで30年間で3500人以上の子どもたちを直接指導してきた経験から、この2つのタイプに分かれると考えています。
満遍なくできる「マルチタスク型」の子の場合
1つ目のタイプを「マルチタスク型」といいます。マルチタスク型の人は、その名のとおり、比較的なんでも満遍なくマルチにこなしていきます。中学校で全科目満遍なく点数を取って内申点がいい生徒といった子は、このタイプが多いです。満遍なくできるということは裏を返すと、集中力がなく分散型だということでもあります。
このタイプの集中力のなさは本来「才能」であり、将来の職業とも関係している場合があります。集中力があると周囲に気を配ることができません。たとえば、学校の先生は40人の子どもたちを相手に指導します。もし集中力のある先生だったら目の前の生徒しか見えず、全体の子どもたちへ気を配ることは難しいでしょう。集中力がないからこそ、広く気づくことができるという才能を持っているのです。しかし、子どもの頃は、集中力がないことがデメリットになることが少なくありません。勉強は集中力が求められるからです。
このマルチタスク型の行動基準、価値基準は「損得」です。損か得かを判断基準として動く傾向にあるのです。損得で動く子は、無駄が嫌いで、面倒くさいという言葉を発したりします。しかし無駄が嫌いであるということは効率性を好むということを意味します。ですから、方法論、やり方、ノウハウ、スケジュールなどが大好きです。それは、秩序を好むということでもあります。合理化でき、自分が得するということが分かれば、動きます。
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