トランプ一族、470億円「巨額脱税」の全貌 ニューヨーク・タイムズ紙のスクープ
また同氏は、ドナルド・トランプ氏の車、従業員の給料、株式の購入、マンハッタンに構えた最初のオフィス、それらのオフィスの改修などにかかった費用も負担している。さらには3件の信託基金と複数の合名会社で株式も譲渡している。クリスマスには1万ドルの小切手を渡したこともある。そして所有していた建物のランドリーサービスの収益も、息子に譲渡している。
フレッド・トランプ氏による譲渡はほぼ、税金の専門家がタイムズ紙に対して不適切、場合によっては違法な可能性もあると説明されている手法を用いて、贈与税や相続税を回避できるよう仕組まれていた。
独創性に富んだ弁護士たちが…
フレッド・トランプ氏は、政府による住宅助成金の助けを借りて富を築き上げたにもかかわらず、同氏が自分の子どもに富を譲渡するにあたり、政府がこれに課税するのは明らかに不当であると主張していた。インタビューや新たに入手された文書によると、同氏は80代のときに認知症を患い始めたが、その頃になると贈与税や遺産税の回避は家族全体の問題となり、ドナルド・トランプ氏はこの件で重要な役割を担っていたという。
合法的な税金回避と非合法な脱税はその境目があいまいな場合が多く、独創性に富んだ税金専門の弁護士によってつねに拡大解釈されている。裁判所やIRS自体の賛同を得ている、巧妙な税金回避法はいくらでもある。もっとも裕福なアメリカ人で満額に近い額を負担している者はまったく、もしくはほとんどいない。
しかし、税務専門家らは、タイムズ紙の調査結果では、トランプ氏が合法的な抜け穴を悪用する以上のことをしているようだと説明した。彼らは、これらの資料に記述されている行為が、特にフレッド・トランプ氏の不動産の価値について、詐欺と難読化のパターンを示していると語った。
「このすべてを通して、注目すべきは評価査定だ。彼らは極端にいいかげんに査定を行っている」と、フロリダ大学の法学教授で贈与や不動産税法の一流の専門家である、リー・フォード・トリットは話す。 「彼らの目的によって、極端な変動が見られる」。
税金を回避するための価格操作は、ドナルド・トランプ氏の人生における財政的出来事の中で、最も重要な1つである。これまで明らかにされていなかった話では、トランプ氏と彼の兄弟は、フレッド・トランプ氏の死の1年半前、1997年11月22日に父の帝国のほとんどを所有していた。