インスタ中毒な人をたくさん生んだカラクリ

「なじみ感」×「ネットワークの力」がカギ

なぜここまで広がったのでしょうか(写真:Alexandra Iakovleva/iStock)
人の心をつかむ製品やコンテンツの秘訣とは何か。同様のアイデアなのに、まったく当たらない製品と大当たりする製品があるのはなぜか。『ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで』の著者、デレク・トンプソンが分析する。

インスタグラムは何が特別だったのか

この2、3年の写真共有アプリの市場はもはや狂乱状態に近い。1999年には、世界中で800億枚の写真が撮影され、7000万台のカメラが売れたが、現在は、世界中で数十億台の携帯電話、タブレット、パソコン、カメラによって、毎月800億枚の写真が共有されている。

インスタグラムは、ほかのいくつかのアプリと同様、ユーザーが自分で撮った写真にフィルターをかけて、さまざまな雰囲気にできるアプリだ。そういう目的に関してはほぼ完璧な設計だ。シンプルで実にうまくできていて、日常の写真を、直感的な操作で編集したりシェアしたりできる。

しかし、この分野には同じくらいシンプルでうまくできたアプリがほかにもたくさんある。インスタグラムが、フィルターというアイデアを発明したわけでもない。では、インスタグラムのいったい何が、そんなに特別だったのだろう。

実は、インスタグラムの創設者は開始前に、起業家のケヴィン・ローズ、ジャーナリストのM・G・シーグラー、テクノロジー・エバンジェリスト(最新テクノロジーを一般向けにわかりやすく解説し、世に広める役割を担う職種)のロバート・スコーブル、ツイッターの共同創設者のジャック・ドーシーなど、サンフランシスコのテクノロジー業界の大物のところに、インスタグラムの初期バージョンを持って行っていた。

これら業界の著名人たちが、ツイッターに、インスタグラムの写真を何枚か投稿してくれた。そこは、合わせて何百万人というフォロワーが存在している場所である。このようにインスタグラムは、既存の巨大なネットワークを利用して、製品を売り出す前から、すでに何千人もの人々にアプローチしていた。

2010年10月6日、インスタグラムのサービス開始当日、2万5000人がアプリをダウンロードし、アップル社が運営するアプリストア「アップストア」の売り上げトップに躍り出た。ドーシーが投稿したインスタグラムの写真をツイッターで見た多くのiPhoneユーザーたちが、発売と同時にこぞってアプリをダウンロードしたのである。

シリコンバレーのジャーナリストたちに言わせると、立ち上げたばかりの事業が、公開前にテクノロジーのブログでこれほどプロモーションと注目を得られるのは、前代未聞だそうだ。

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