ライオンズ優勝、鉄道収益にどの程度貢献? 日本シリーズ進出なら運賃収入上積み期待も
実際、ライオンズファン拡大の効果は西武ホールディングスの決算を後押しした。決算短信の「経営成績に関する説明」では、決算が順調だった要因のひとつとして「西武ライオンズでは、各種営業施策の実施や好調なチーム成績を背景に、観客動員数が前年同期比で増加したほか、選手関連グッズの販売が好調に推移」したとの分析結果が記載された。
ライオンズと西武鉄道の連携強化は、ライオンズ主催試合入場者数・グッズ販売数・スタジアム飲食販売の増加などによる球団の収入増と鉄道利用増による運賃収入増の両方の実現につながった。
ライオンズと西武鉄道の例に限らず、プロ野球と鉄道の連携は双方にメリットをもたらす。西武グループと阪神グループの場合、球場入場者数の増加は鉄道利用増と連動する。
非鉄道会社が親会社のプロ野球球団であっても、鉄道との連携は周辺住民に迷惑を及ぼす渋滞を緩和させるメリットや地元プロ野球球団をさらに盛り上げる効果が期待できる。
西武鉄道が持つ独自の強み
西武鉄道の場合は西武球場前駅の目の前にメットライフドームがある利点とともに、保有する特急専用車両を活用して、球場アクセスの有料特急を運行する独自性を有する。
今年は、2015年から毎年運行されている「ヱビスビール特急」がライオンズ主催試合開催日の7月24日、25日、26日に運行され、また8月4日には、歌手の渡辺美里さんのメットライフドーム来場に合わせて、「MISATOトレイン」が1日限定で復活運行されるなど、ライオンズと西武鉄道の連携がさらに強化された。
今シーズンのライオンズは開幕8連勝を皮切りに首位を一度も陥落しない好調な戦いを繰り広げた。本拠地最終戦の前日の試合で優勝マジックが「1」に減り、最終戦で優勝が決定する可能性を残す形となり、入場者数増加を実現するうえで理想的な展開をたどった。本拠地最終戦(対福岡ソフトバンクホークス戦)の入場者数は3万1577人であった。
次の焦点は、クライマックスシリーズ(CS)で勝利を果たし日本シリーズに出場できるかに移った。日本シリーズ出場を果たせば、ライオンズの入場者数と西武鉄道の乗車人員の両方が増加する。
仮にCSで4連勝(アドバンテージ1勝を含む)したとの仮定の下では、1日平均約3万人が入場した場合、CS総入場者数は3日間で約9万人、CSを勝ち抜き日本シリーズが第4戦で終わる場合のライオンズ総入場者数は2日間の場合で約6万人、合計延べ15万人がメットライフドームに来場すると予想される。
この15万人のうちの65%の所沢駅―西武球場前駅間のIC運賃174円で往復するとの前提を置いた場合、ライオンズがBクラスに留まった場合と比べて、西武鉄道は約3393万円の増収を手にすることが可能となる。
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