景気急減速で状況一変! 就職戦線大予測2010


【2.学生の就職観と就活】 景気悪化で学生の不安大 早い段階から動きが活発

世界的な金融危機は、これから就職活動をする大学3年生の心理にも大きな影響を与えている。9月下旬から始まった各大学での就職ガイダンスや業界セミナーでは、参加学生数が昨年より大幅に増え、学生の表情にも緊迫感が満ちていた。

9月下旬、就職サイト「ブンナビ! 2010」登録学生にこれからの就職活動を聞いた。まず、「来年の就職の見通し」では、「厳しい」とみる学生が急増して65%(昨年19%)と昨年の3倍超。「昨年並み」とする学生は35%(同76%)に半減し、環境は一変した。学生のコメントにも、「リーマン破綻で経済状況が不安、特に金融業界は採用を控えるのではないかと懸念」「金融不安が悪化し、就職活動が厳しくなることが予想されるが、早期から入念な準備と強い意志、執念を持って臨みたい」など、「不安」「心配」「厳しい」といった言葉が多い。この悪化しつつある就職環境は、学生に就職氷河期の再来を想起させているようだ。多くの学生は、環境の変化を読み、企業情報の収集・研究に真剣に取り組み、早期からのエントリー登録やイベントへの参加が一段と増加するとみられる。

一方、学生の企業選択基準がどう変わるのか。予想されるのは、大企業や公務員志向だ。学生に志望する企業の規模を聞いたところ、「大企業しか考えていない」という回答は5%(昨年5%)にすぎず、「できれば大企業」62%(同57%)、「こだわらない」33%(同36%)という結果だった。大企業志向は、昨年より増加したが、「不況だから大企業志向になった」とは言い切れない。企業の安定度より、仕事のやりがいや仕事内容、キャリア形成にこだわるということが定着しているからだろう。

【3.スケジュール】 採用活動早期開始も 内定時期は後ろ倒しに

採用活動のスケジュールも例年どおりとはいかなくなった。求人する企業も採用どころか経営への影響が読み切れず、恒例の大学訪問の足も鈍りがちだ。そのため採用活動、面接、選考、内定時期など一連のスケジュールが遅れそうなのだ。

企業の採用活動は、大きく3つの段階に分けられる。最初が6月から9月末までの採用準備活動期。次が自社に関心のある学生を集める母集団形成活動期で、10月から翌年の2月末まで。最後は、選考・内定時期で3月から6月である。

今年の採用準備活動を見ると、6月中旬からインターンシップやキャリア支援のセミナーが例年以上に活発だった。ただ、インターンシップやキャリア支援に名を借りた事実上の会社説明会が多数登場したのが特徴である。

母集団形成活動期は、各就職サイトがオープンした10月1日から本格化、ちょうど今がその時期である。真剣な応募のほか、単なる資料請求、第一志望企業との比較など動機はさまざまで、学生はネット経由でエントリーをする。この情報を毎日蓄積し、さらに詳細なエントリーシートを書かせて志望度を確認し、若手社員との質問会などへの参加に誘導、時にはWebテストを受けさせる。このプロセスで学生をそれぞれのレベルに分けていく。

第3段階は、母集団の中からさらに個人面接や筆記試験で、自社の選考基準に照らし、採用候補者を決定する。09年採用では、この時期が1月下旬だったが、来年は採用計画がなかなか決まらない事情から、最終的に採用候補者を決定する時期が遅くなり、選考期間が長くなりそうだ。アンケートでも昨年並みとする企業が多いが、採用活動の流れが読めないからだろう。むしろ注目は、「遅らせる」という企業が現れたことだ。遅くなっても、マイペースで採用活動をしていこうという動きだろう。

内定時期はどうなるか。産業界全体において慎重な採用が基調になると予想され、採用計画の遅れが早期化を抑制、人事面接・役員面接も遅れ、内定出しは4月下旬からで、ピークは今年より1カ月遅れの5月の連休以降と見る。それでも、この段階で内定を出すのは大手企業の総合職で、準総合職や準大手企業では、5月下旬から6月が内定出しのピークになるのではないか。皮肉なことだが、不況とともに今年は倫理憲章が定着することになりそうだ。


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