人脈を作る近道は「名刺を正しく捨てる」こと?

【特別対談】岩崎夏海×太田彩子(2)

岩崎:ノートをきれいにとるというのは、言わば未来の自分に対するおもてなしですしね。

太田:ノートをぐちゃぐちゃに書くと、後で見直すとき、余計に時間がかかります。本来、そこにかける時間は最小限にして、お客様へ創造的な提案をするとか、訪問回数を増やすとか、本来の業績貢献活動に時間を注ぐべきですよね。つまり整理整頓は自分のためだけじゃなくて、結局、顧客思考につながるものなのです。

岩崎:確かに。話を戻して、机がきれいなこととマネジメントがなぜ関係あるかというと、汚い部屋に住んでいる人って、必ずどこか心の片隅に「片付けなきゃ……」という罪悪感みたいなものが生まれるのです。それが、他者や外界への「気づき」を鈍らせる。

太田:ご本にも書かれていた「詰まり」ですね。

岩崎:そう。思考の流れが詰まってしまう。机でも部屋でも、自分を取り巻く環境をきれいにしておくとストレスがなくなるので、周囲のいろいろなことに気づけるんですよ。たとえば、部下の体調が悪いことなどをすぐに察知して言葉をかけられる。すると「課長、なんでそんなに勘がいいんですか!」となって、株も上がる(笑)。

太田:気づく上司ってモテますよね。ただ、そうは言っても机が散らかっている上司には、どう対処すればいいのでしょうか。

岩崎:答えはひとつで、僕の本を上司に見せながら、「あなたの机を私に管理させてください」と言えばいいのです(笑)。それで「詰まり」がなくなり、どんどんいい流れになっていく。

太田:それは新しい! 上司の机を部下がきれいにする。確かに、そうすれば上司としても部下に申し訳なくて、あまり散らかせない(笑)。

岩崎:いずれ机だけじゃなく、上司の内面が変わっていきます。本当の目的はそれですから。

太田:上司の内面が変われば、チームの成績も絶対よくなりますからね。

ヘヤカツで運気が上がり『もしドラ』を書く

太田:岩崎さんはいつ頃からヘヤカツを始められたのですか?

岩崎:2006年くらいまで、東京都日野市の実家に暮らしてたのです。ただ、両親は仕事で遠くに住んでいたので、3LDKを独り占めしていました。広いからって、完全に甘えてましたね。両親が使っていたベッドルームに本棚を持ち込んで、司馬遼太郎ばりに何万冊もの本を並べて、ここは僕の図書館だなんて気取っていたり。しかも散らかし放題でした。

太田:へえー。

岩崎:ところが、仕事が忙しくなって都心への通勤にあまり時間をかけられない状況になったので、渋谷のマンションに引っ越すことにしたんです。ただ、なにせ家賃が高いので、住めたのはワンルームマンションでした。

太田:3LDKに収まっていたものは、絶対に入らないですね。

岩崎:だから、実家に荷物を置いておこうとしたんですよ。すると親父が「固定資産税がバカにならないから、お前が住まないなら家は売る」と言い出した。仕方ないから多くのものを処分して、本棚1個だけを渋谷のマンションに持って行ったら、それでまったく問題がない。「今まで、あんなにたくさんのモノは必要なかったな」と、しみじみ思ったのです。

太田:それ、よくわかります。

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