新Apple Watch、使ってわかった飛躍的進化 AIが安全や健康をもたらしてくれる

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アメリカの多くの医療ネットワークでは、患者と医師がウェブやアプリ内でメールを通じてコミュニケーションを行うことができる仕組みを構築している。そうした前提があるため、PDFとして出力する仕組みを備えておけば、医師とすぐに共有して、診察前の判断を仰ぐことができるようになるのだ。

心臓のリズムに変調を来して治療を受けることは多々ある。日本は内科に心電図が用意されていることも多く、かかりつけ医がすぐに計測してくれるかもしれない。しかしアメリカでは、かかりつけ医が心臓の専門医を紹介し、その心臓医が検査技師を紹介して、初めて心電図を取ることができるのだ。初診の場合、心電図検査の結果を心臓医に聞くまで、1カ月かかることは一般的だ。

もし徐脈や頻脈を検出して救急救命室(ER)に駆け込んでも、その頃には収まっており、うまくパターンを記録できないことは、心電図検診によくあるパターンと言える。そのため24時間以上の心電図計測(ホルターモニター)の計測を行わなければならない。

Apple Watch Series 4の心電図計測は、ホルターモニターのように常時計測できるものではない。ただ、前述のようにApple Watchが心拍の異変を察知したとき、同じデバイスですぐに心電図を計測することができれば、前述のアメリカのプロセスで言えば1度目の心臓医の検診で、何が起きたのか手がかりをつかむことができるようになる。

残念ながら現状、アメリカのFDA(食品医薬品局)でしか認証を取っていないため、心電図のアプリが有効化されず、日本のユーザーはたとえすべてのApple Watchにハードウェアとしての心電図計測機能が内蔵されていたとしても、心電図計測を行うことができない。日本に限らず、アップルは各国でこうした認証を取る必要があるが、ぜひ、早期にアプリを有効化できるよう願っている。

アップルは「健康」にもっと踏み込むべき

転倒検出機能も心電図も、個人向けのポータブルデバイスはすでに存在していた。しかしより「医療機器」然としたデザインは、日常的な装着に抵抗感を与えている。筆者の身内でも経験があるが、そうしたデバイスをつける必要があると家族は思っているが、本人は「老いの象徴」としてつけたがらないのだ。

しかしApple Watchならどうだろう。

watchOS 5は、ウォーキングなどのワークアウトを自動的に検出して通知を送り、ウォーキング開始時に遡って記録し始める仕組みを備えた(筆者撮影)
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