日米通商協議が難航しても株価は上昇する

「トランプ山」よりも大きなイノシシは出ない

こういう時に使われることわざの一つに、「山より大きなイノシシは出ない」がある。つまり、アメリカの対中通商政策も、すでにトランプ大統領が「対中報復関税は2000億ドルの輸入分追加だ、いや、最終的に中国からの全輸入に対して関税を追加する」と、巨大な山をすでに築いており、それは市場が知るところとなっている。それより大きなイノシシは出て来ようがない。

間もなく2000億ドル分に対する関税は発動されようが、それで短期的には「敬意を表して」株価が下振れしても、下落トレンド入りするなどの展開は見込みにくい。実際、ムニューシン長官の動きを否定するブルームバーグの報道があって、先週末のアメリカの株価は一時下落したが、引けにかけては株価が切り返している。

一方、日本株については、今度はトランプ政権が日本に矛先を向けるとの観測が重石となりうる。早ければ今月下旬にも日米間の貿易協議が設定され、そこでアメリカが自動車関税の引き上げを突き付けてくるという展開がありうるからだ。

だがいきなり自動車関税の引き上げがそこで決定されるわけではなく、そうした「脅し」をアメリカ側がちらつかせながら、時間をかけて交渉が行なわれる展開となりそうだ。欧州に対しては、欧州側が7月の米・EU首脳会談において、アメリカ産天然ガスの輸入増など「お土産」をトランプ大統領に渡したため、対欧自動車関税の引き上げは一時「休戦」となっている。

やはり同盟国である日本についても、「お土産」(アメリカからの天然ガス輸入増、日本の製造業企業のアメリカにおける生産拡大、農産品の関税引き下げなど)によっては、アメリカ側が自動車関税の引き上げを見送ることがありうる。

日経平均2万3000円台定着から「上放れ」か

前回の当コラム「今は日経平均2万3000円超えたらいけない病」で述べたように、日経平均株価の2万3000円超え定着を疑う投資家の売りで、これまで国内株価の頭は抑えられてきた。

先週の日経平均株価上昇の背景には、日本の企業収益の実力とは異なる要因もあったことは事実だ。つまり海外投資家が関西などを襲った台風や北海道胆振東部地震の悪影響を懸念して日本株を売ったのだが(9月第1週では、海外投資家は現物株を5279億円売り越し)、その後は過度な懸念後退から株を買い戻した。また14日のSQ(特別清算指数)算出日を意識して、ソフトバンクなど日経平均への影響力が大きい値がさ株に思惑的な買いを入れたと推察されること、などが挙げられる。

それでも、日本株の水準は予想PER(株価収益率)などでみれば、企業収益の実力と比べてまだ売られ過ぎの状態にあることは明白だ。アメリカの「トランプ山」からはもはや大きなイノシシが出にくいことから、市場の目が徐々に通商問題から実態面(景気や企業収益)に向かい、すぐでないとしても、日経平均は今後2万3000円を固める展開が実現すると見込む。上値が重いと考える向きが余りにも多いため、逆に上振れが始まれば、一気に弾みがつくこともありうる。

こうしたことから、今週連休明けの日経平均株価は、2万2900~2万3500円を予想する。

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