伝説の記者が暴くトランプのヤバすぎる内実 新著でホワイトハウス奥の院の混乱を暴露

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トランプ政権の中心メンバーの間では、こうした緊張が沸点に達しており、プリーバス氏は、彼らの関係についてライバルではなく、「天敵」同士と説明したという。

「ヘビ、ネズミ、ハヤブサ、サメ、アザラシを壁のない動物園に入れたならば、事態は悪化し、血みどろになる」とプリーバス氏は述べたとされる。

電話での直接対決

トランプ大統領とウッドワード氏は2018年8月14日に電話で「直接対決」した。ワシントンポスト紙が9月4日に公開した、その録音音声も生々しい。

ウッドワード氏は、大統領に直接取材をするために、大統領顧問のケリーアン・コンウェイ氏や、ホワイトハウス広報部長だったホープ・ヒックス氏、ラジ・シャー副報道官、リンゼー・グラム上院議員ら6〜7人に接触したことを明らかにした。だが、大統領への事前の直接取材は叶わなかった。

これに対し、大統領は「ネガティブな本になるんだね」などと言いながら、事態を受け止め、雇用の回復や北大西洋条約機構(NATO)加盟国への防衛費負担増といった自らの業績を必死にアピールしている。本の中では、マティス国防長官が、安全保障を議題にしていても、大統領はすぐに移民やニュースメディアの話題に脱線するきらいがあると指摘しているが、そうした脱線傾向は、ウッドワード氏との電話の中でも十分にあらわになっている。

トランプ大統領の常軌を逸した言動や、マティス国防長官とケリー大統領首席補佐官の辞任観測はこれまでも至る場で指摘されてきたが、この本はトランプ政権の危うさを改めて世に示した格好だ。

大統領をはじめ、政権幹部は早速、「でっち上げの作り話」などと反論し、ウッドワード氏とその本の信用を貶めることに躍起になっている。しかし、ウォーターゲート事件をめぐる調査報道でも、ウッドワード氏は当初からホワイトハウスに報道を一貫して否定されていた。

ベテランの調査報道記者による著作なだけに、事実確認に抜かりはないと推測できる。本の出版を契機に、政権幹部間の相互不信が高まり、さまざまな「大統領の男たち」がさらにうごめき始めるかもしれない。

高橋 浩祐 米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

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たかはし こうすけ / Kosuke Takahashi

米外交・安全保障専門オンライン誌『ディプロマット』東京特派員。英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』前特派員。1993年3月慶応義塾大学経済学部卒、2003年12月米国コロンビア大学大学院でジャーナリズム、国際関係公共政策の修士号取得。ハフィントンポスト日本版編集長や日経CNBCコメンテーターなどを歴任。朝日新聞社、ブルームバーグ・ニューズ、 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、ロイター通信で記者や編集者を務めた経験を持つ。

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