「ブラジルの悲劇」は、起こるべくして起きた

ブラジル国立博物館の至宝が焼失した必然

リオデジャネイロ消防局のロベルト・ロバディ指揮官は3日、報道陣に対して、建物外の2つの消火栓に水が通じていなかったことを伝えた。これにより、消防士は近くの湖の水を使うとともに、給水車に頼ることを余儀なくされた。しかし、建物の延焼があまりにも速く、そのいずれもが役に立たなかった。

「建物内のスプリンクラーなど、あって当たり前のものがここにはありません。昨日の火災は、私のキャリアの中でも、最も悲しい出来事のひとつでした」とロバディ氏は語り、消防局が消火のために行った対応を調査して、必要があれば措置を講じると付け加えた。

「起こるべくして起こった悲劇」

地質学・古生物学部門の教員を務めるレナート・ロドリゲス・カブラル氏は、この博物館が一夜にして没落したわけではないと語った。

「これは起こるべくして起こった悲劇。歴代の政府は資金の提供やインフラへの投資をしようとしませんでした」と、カブラル氏は学生や同僚を抱きかかえながら話した。

カブラル氏は、この建物は約15年前に配線を新しくしたものの、火災から博物館を守るには明らかに不十分だったと話した。「消防士たちは、基本的にただ火災を眺めることしかできなかった」(カブラル氏)。

「ブラジルの歴史と科学にとって、この火災は徹底的な悲劇です。失われたものを元に戻す術はありません」とカブラル氏は付け足した。

ブラジル国立博物館には、考古学上の発見から歴史的な出来事にまつわる品々に至るコレクションが収蔵されていた。

リオデジャネイロ連邦大学と教育省との関係があるこの博物館は1818年に設立された。そこには、エジプトの埋蔵物やブラジルで発見された最古の人の化石など、複数の代表的コレクションが収蔵されていた。

かつて皇帝が住んでいた建物の崩壊は、「ブラジルにとって計り知れない損失」であると、ミシェル・テメル大統領は声明の中で語った。「200年におよぶ成果、研究、知識が失われた」。

しかし、広く知れ渡ることとなった、政府による財政面での放置の疑いについてのコメント要請に対しては、同大統領の事務所から返答がなかった。

(記事: Gabriel Stargardter、編集: Brad Brooks、James Dalgleish)

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