見えてきた日経平均2万3000円突破の道 狙い目は出遅れている中小型株?

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また、日経平均に大きく貢献した「ファストリの株高」も、「ゴールドマンサックス系の日本株ロングショートファンドが1つ閉鎖されたためだ」という説もある。日本株のロングショートファンドにとって、高PERのファストリは売り(ショート)対象となっている。ロングショートの閉鎖は、買って(ロング)いるものを売り、売っているものは買い戻しとなるので、この特殊事情の買いが入ってファストリが高くなり、寄与度で日経平均が高くなっただけだとしている。この説が本当なら、先週の強さを評価せずに「なおニュートラルな気持ちでいる必要がある」ということだ。

試される「日経平均2万3000円抜け」

しかし、ファンダメンタルズでは日経平均予想EPS(1株利益)が史上最高値を更新し、テクニカルでは目先の強い抵抗帯を越えたことは事実である。

米中対立を中心に新興国不安のある中で、日本企業の2018年度予想が保守的に出され、日経平均予想EPSが1722円(5月9日)から1641円(5月16日)まで低下していた。その後世界情勢が不透明感を増す中で、第1四半期決算発表段階での通期上方修正は低調なものと考えられていた。

基本は強気スタンスの筆者も、予想EPS史上最高値更新はこの段階ではなく、第2四半期決算発表時の11月ではないかと考えていた。だが実際はこの5月の1722円を抜き史上最高値を更新した。予想以上の企業収益好調の実態は、まだ市場には織り込まれていないと思う。たとえ今週、波乱があったとしても、先高期待は十分だと思っている。

2008年のリーマンショックは当時「100年に一度の大事件」といわれた。したがってここで世界経済は一度リセットされ、リーマンショック後に新しい世界がスタートしたとも考えられる。その新しい世界の現状を、安値だった2009年3月の株価と現在の株価を大まかに比べて表現すると、アメリカ(ダウ)4倍、ドイツ(DAX)3.5倍、日本(日経平均2.8倍、TOPIX2.5倍)、中国(上海総合)1.2倍となる。

アメリカとドイツが勝ち組で、一帯一路で前進している中国が厳しい立場におり、日本がいかにも中途半端であることがわかる。アメリカ・ドイツの株価は本年1月に史上最高値を記録。最近までは若干調整ぎみだったが、先週には前出のとおり、アメリカの主要株価指数であるS&P500とナスダックが再び1月の史上最高値を抜いてきた。日本が弱気になっている暇はないと思う。5月、6月、7月ははね返されたが、4度目の日経平均2万3000円本格突破が試される。

その上にある1月高値2万4000円は、2009年の約8000円から見ると3倍で、アメリカ4倍、ドイツ3.5倍、日本3倍となり、世界の投資家から見て、程良い位置かもしれない。一方でNT倍率が過去最高を記録し、日経平均とTOPIXの格差が広がっている現在、TOPIX(約2.5倍)の出遅れがやや目立つ。狙い目はTOPIX、特に中小型株ということになる。TOPIXウエートを高めた日銀ETF(上場投資信託)買いの影響が、これから本格的に出てくるのではないかと思っている。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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