くまモンが変えたマジメな公務員という呪縛 その裏側では恐る恐る一歩を進めている
ですが、くまモンとの仕事においては、法律も条例も先例すらなく、ひたすら試行錯誤の日々の中で「マジメで堅い」公務員集団が知恵を絞りながら、恐る恐る一歩ずつ歩みを進めています。日頃「マジメで堅い」仕事に従事せざるをえないからこそ、「くまモン」という触媒がその呪縛を解いてくれるのかもしれません。それは、職場ではなく、職員に作用しているのです。
くまモンは熊本愛にあふれたキャラクター
くまモンは県庁の各部署のほか、選挙管理委員会、教育委員会等々、県組織の至るところで活躍しています。そこには、くまモンを「独占しない」という考えがあるからです。
熊本県庁を訪れると、多くの職員が、くまモンのイラストがついたウィンドブレーカーを着ていることに驚かれるでしょう。それも同じものではなく、それぞれ所属ごとにデザインが異なっていたりもします。多くの職員にも愛されている証しです。
たとえば、私たちはくまモンの「営業部長」の肩書を、「県産品を売る」というよりも「熊本県を売る(知名度を上げる)」という意味合いで使っています。もし、「農業県熊本の営業部長」としてくまモンを独占していたら、農林水産物はPRできても、観光の誘客には不適であり、別のキャラを作るほかなかったかもしれません。
「キャラクターバイブル」というのだそうですが、身長や体重、誕生に至る由来、趣味特技、好きな食べ物等々、アニメや小説の登場人物(キャラクター)の個性を決めておくと、あとはキャラクターが独り歩きすることができます。つまり「キャラを立てる」わけですが、くまモンは、「熊本生まれのやんちゃな男の子」以外は、ほとんど決めごとがありません。
たとえば、くまモンが「阿蘇山麓で生まれた」とすれば、同じ熊本県内でも阿蘇地域以外の方は距離を置くでしょう。「サッカーが大好き」となれば、野球少年は悲しむでしょう。くまモンを自分色に染めることができるように、あえて「色をつけない」ようにしています。
白衣を着せた「ドクターくまモン」、刺し子の法被を着せた「消防団くまモン」等々、それぞれの制服を着せることができるのも、シンプルなデザインであるがゆえです。もちろん、熊本県のキャラクターとして、「熊本のおいしいものをたくさん食べて太った」といった熊本愛にあふれたキャラクターであることは間違いありません。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら