くまモンが変えたマジメな公務員という呪縛 その裏側では恐る恐る一歩を進めている
そこで、熟慮した結果、提案したのが、「くまモンからの感謝状」と「くまモンオリジナル写真」。これまでの経験から、これならば、少なくともファンの皆さんは関心を持ってくださるとの確信がありました。さらに、今後も継続して4回はこの愛称で販売したい、とのことでしたので、オリジナル写真は毎回違ったものにすることや、5回すべて購入いただいた方には、別途サプライズなおまけを考えてはどうか、などを提案しました。
財政課では、県外の個人投資家を念頭に、県の観光PRにつなげたいと、「観光パンフレット」を加えた「3つの特典」として募集リーフレットで紹介しました。
「くまモン債」は目覚ましい成果を上げた
9月26日、財政課が記者会見を行うと、Yahoo!ニュースをはじめ、朝日や読売といった全国紙だけでなく、県外各地の地方紙でも「くまもとが好きだモン債」が取り上げられました。その直後から、
「くまモンが大好きだから、どうしても買いたい」
「県外に住んでいても買えるのか?」
「どこで買えるのか?」
といった問い合わせが、全国各地から相次ぐことになります。
10月8日の募集開始当日には、肥後銀行東京支店に開店前から行列ができたとの情報も入ってきました。もちろん、東京支店に行列ができたのは初めてです。くまモン自身も、10月末に東京で開催された合同説明会に出席し、PRのお手伝いをしました。
結果、購入者は、北は北海道から南は沖縄まで全国各地に及び、個人向けが873人、額にしておよそ16億円の販売を達成しました。これまでの購入者は県内がほとんどで、過去3年間の平均は約100件、販売額はおよそ5億円だったことを考えると、目覚ましい成果と言えます。
さらに、購入された方からは、「観光パンフレットを見て熊本に旅行したくなった」との声もあり、財政課のさらなる狙いも当たる結果となりました。
先に人事や財政、統計調査課のことを「マジメで堅い」と書いてしまいましたが、読者の皆さんの中には、そのようなセクションに限らず、「公務員」そのものが「マジメで堅い」との印象をお持ちの方もおられるのではないでしょうか?
ひとくくりに「公務員」と言っても、そこは個性のある個人の集団で、一般の企業となんら変わるものではありません。性格的に「マジメで堅い」人は、公務員に限らず、どの組織にも大なり小なりおられます。ただ、職務を執行するに際しては、「全体の奉仕者として誠実かつ公正」でなければなりません。それが「マジメで堅い」印象を与えているのかもしれません。
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