知らないのに使っている「キャッシュ」の語源 意外?納得?金融英単語のルーツ

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「キャッシュ」の語源とは?(写真:mizina/PIXTA)

「キャッシュ」「ハイリスク・ハイリターン」「デフォルト」……。私たちが日常的に使う言葉の中には、英語が多く含まれています。特に金融用語は英語だらけ。いつもなんとなしに使っているこれらの言葉ですが、語源や背景がわかると味わい深くなるだけでなく、いろいろ応用が広がるかもしれません。本連載では、さまざまな金融英語の語源をわかりやすく、楽しく紹介していきます。

キャッシュという言葉は「箱」から来ている

Cash

「キャッシュで払う(pay in cash)」「キャッシュ・フロー(cash flow)」「キャッシュ・オン・デリバリー(cash on delivery=COD)」など、すでにかなりの数の表現が日本語化していますが、この 「キャッシュ(cash)」 という語は、実は「会計場所」の「キャッシャー(cashier)」 から逆成された言葉なのです。

この cashier は、中世の時代にフランス語を経てオランダ語から入った言葉で、現代フランス語では「caisse」 となっています。もとは「お金の箱」という意味でした。つまり、英語の「容器」を意味する「ケース(case)」と同語源だったのです。

その case はと言えばラテン語「capsa(箱)」に起源をさかのぼり、つまりはイタリア語やスペイン語でよく知られた「家」を意味する語 「casa」と同じルーツなのです。モロッコの「カサブランカ(Casa blanca)」(映画でも有名ですね)は、英語で言えば「ホワイトハウス(White House)」ですし、18世紀イタリアに生まれた当代きっての遊び人「カサノヴァ(Casanova)」は、日本流に言えば「ミスター新家」ですね。

イタリア語では「縮小辞」といって、かわいらしい、小さな雰囲気をかもし出す接尾辞が盛んに用いられますが、この casa に縮小辞 -ino がついたのが casino です。もとは「小さな家」という意味ですが、今では立派な大きなカジノもラスベガスあたりにはたくさんあります。

またフランス語では縮小辞 -ette がついて、それが英語化したのが「カセット(cassette)」です。こちらは「小さなケース」ということになりましょうか。先程のラテン語の capsa にラテン語の縮小辞 -ula がついたのが、現代英語では「カプセル(capsule)」 となっています。

英語のcase には動詞を作る接頭辞 en- がついた「encase(箱に入れる)」という動詞もあります。また「encapsulate(カプセルに包む)」です。もう1つ、車の「シャシー」chassis ですが、これもやはり capsa にルーツを持った言葉です。

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