知らないのに使っている「キャッシュ」の語源 意外?納得?金融英単語のルーツ
「cap(帽子)」がこの capital に関係があるのでは、と思われた方は正解です。これは古い時代にフランス語を経由して英語に入った形です。入れ物のふた、新聞などのチームリーダーなどのことも「キャップ」と言いますが、同じ単語です。団体のボスという意味では 「キャプテン(captain)」 もそうですね。キャプテンというと、野球部のキャプテン(主将)、飛行機の機長、船の船長などを思い出しますね。軍隊では「陸軍大尉」や「海軍大佐」の意味です。
「corporal(伍長)」も同じ語源です。ただし、形容詞の「corporal(身体の)」とはルーツが別ですので注意してください。また、婦人服の「ケープ(cape)」と「岬」を意味する cape とは同じつづりで、やはりもとは「頭」の意味から発展したものです。南アフリカの「Cape Town(ケープタウン)」は岬町だったのですね。アメリカの人工衛星打ち上げなどで有名な 「Cape Canaveral(ケープ・カナベラル)」という地名もきっと皆さんお聞きになったことがあるでしょう。
「達成する」「牛」も同じ仲間
フランス語では中世の時代に ca の音が cha(シャ)に変化したので、「帽子」は 「chapeau(シャポー)」 となりました。日本語の「シャッポを脱ぐ」はこれが語源です。この少し前の時期にはまだ cha は「チャ」と読まれていました。その時代に英語に伝わった語が 「chapter(章)」です。これは「章の頭文字」が原義でした。
「achieve」という語も capit- に ad- が付いたもので「頭に達する」ということから「成就する」という意味になりました。precipice(絶壁、がけ、危機)も -cipice の部分は「頭」で、「前の(pre-)頭のところ」ということです。動詞の precipitate(まっさかさまに落ちる)と一緒に覚えておきましょう。このほか、decapitation(首切り)という難しい言葉もあります。de- はご存知「分離」を表す接頭辞です。
ところで「牛」の総称を 「cattle」と言いますが、これも実は capital と大いに関係があります。この語形は中世の北フランス語で、昔、牛は財産であり、富であったのです。経済のほうでは「動産」を chattel と言いますね。「牛」と家族の言葉なのです。
さらに、昔々にまでさかのぼると、ラテン語の capus は英語の head と合流します。ドイツ語では「メインの~」という語を作るときに Haupt- とします(たとえば「主要駅」は Hauptbahnhof )が、ここにはまだ -p- の音が残っています。語頭の k の音はなぜ h になったのかと不審に思う方があるかもしれませんが、これはよくある音声変化です。
イタリア人は「ハヒフヘホ」がうまく言えないので「ヤマハ」のオートバイを「ヤマカ」と発音している一方で、フィレンツェの人は母音にはさまれた k の音を h と発音するので「Coca-Cola(コカコーラ)」は「ホハ・ホーラ」と言っているのは有名な話しです。日本でも「ジンギス・カン」といったり「チンギス・ハン」と言ったりしているのはそういう種類の問題です。
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