ペットの生活を「飼い主の死後」も守るには?

いまや家族の一員のように扱われますが…

そこで登場したのが、「ペット信託®」です。これは、飼い主が元気なうちに、あらかじめ信頼できる人にペットおよび、それを飼育・管理するために必要となる資金を「信託」という形で管理を依頼する手法です。

ペットを守る新たな手法「ペット信託®」

例えば、高齢のAさんが、1匹の猫と暮らしているケース。長男のBさんが近くに住んでいますが、そこはペットを飼えないマンションで、猫のお世話をお願いすることは難しい状況です。Aさんは自分で猫の世話ができなくなったときは、なるべくBさんの手間をかけず、信頼できる動物愛護施設に預けて、次の里親に引き取ってもらいたいと希望しています。そのために、自分が持っている財産(預金など)を、猫の世話や動物愛護施設への支払いに使ってもらいたいと考えています。

信託契約を締結することで安心して管理を任せられます(写真:suntaka / PIXTA)

このような場合、Aさんを委託者(管理をお願いする人)、Bさんを受託者(管理を引き受ける人)、Aさんを最初の受益者(利益を受ける人)、管理をお願いする財産を「猫およびそれを世話するための現金」として、信託契約をします。その内容は、「Aさんが元気なうちはAさんが猫の世話を行う。認知症等で世話ができない状態になったら、Bさんが管理を行う」としました。Bさんに管理が移ったら、あらかじめ決めておいた動物愛護施設等に猫を預ける。猫の世話や動物愛護施設に預ける費用も、Aさんから管理を依頼された財産(現金)から、Bさんが支払います。

このとき、Bさんを監督するために、ペットの生態や法律に詳しい専門職を監督人として付けることも可能です。さらに、猫が里親に引き取られた段階で、残っている財産をAさんに戻す。Aさんがすでに亡くなっている場合は、管理をしてくれたBさんにすべての財産を渡すという約束もできます。

このような信託契約を締結しておくことで、Aさんは自分で猫の世話ができなくなっても、契約に基づいてBさんに安心して管理を任せられます。Bさんは猫が里親に引き取られるまではしっかりと管理をする義務があり、信託内容にもよりますが、猫が無事に里親に引き取られるか、天寿をまっとうすれば、Aさんからの財産をもらえることになります。遺言書と違って、信託契約はその内容に基づいて財産を管理処分する権限しかないので、「財産だけもらってペットは処分」のようなことはできません。

こうした仕組みを使えば、愛するペットの行く末も心配しなくて済むようになりました。家族のように大切なペットがいる方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

※「ペット信託®」は河合保弘氏の登録商標です。

青木郷(あおき・ごう)
司法書士・行政書士・家族信託専門士・家族信託コーディネーター。開業当初より、相続、遺言、家族信託に特化した業務展開を行ってきており家族信託組成支援を含む相続・承継の支援を行った家族は300世帯を超える。複雑で難解な相続手続きを明快に整理したうえで支援、またそのご家族に合った相続・承継対策を一緒に作り上げている。遺言書作成や家族信託組成支援については、お客様の希望や想いを丁寧にヒアリングしたうえで、税理士、不動産コンサルタント等と連携して支援を行っている。共著に『ファイナンシャルプランナーのための相続⼊⾨』(近代セールス社)、執筆・監修に『わかさ11⽉号 保存版別冊付録【⽼い⽀度⼿帳】』(わかさ出版)がある。
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