ホンダ「N-VAN」発売1カ月で見せた強烈な出足 月販3000台目標に対し4倍超の受注を獲得

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最大の特徴は助手席側からの荷物の積み降ろしを便利にした独自の構造にある。

運転席以外のシートを床下へ座面ごと収納できる機構のほか、燃料タンクを前席の下に収めるセンタータンクレイアウトを採用。併せて助手席側はボディの上下をつなぐピラーを廃止して、助手席と後席のスライドドアを全開にした状態で、幅1580×高さ1230mmの大開口部を実現した。

安全装備や燃費・走行性能も充実

この大空間の荷室に加えて、一部グレードを除いて安全運転支援システム「ホンダセンシング」を標準装備。軽乗用車「N-BOX」譲りの燃費・走行性能も、従来のバモスやアクティ・バンとは比較にならないほど、良くなっている。車両本体価格は126万円台~179万円台だ。

全国軽自動車協会連合会(全軽自協)の統計によると、2017暦年での軽四輪車販売約184万台のうち、軽商用バンの販売台数は約20.1万台。軽自動車全体の1割を占めている。これを車名ブランド別に見ると、最大シェアは約7.2万台を売るスズキ「エブリイ」だ。2位はダイハツ「ハイゼットカーゴ」の約5.8万台、3位に日産自動車「NVクリッパー」が約2.4万台で続く。

対してホンダ「アクティ・バン」は約5500台にとどまっていた。もともとの月販目標は2500台、年間目標に直すと3万台だった。

自動車販売の初速は新車効果が最大に出る点は留意しなければならない。ただ、月間3000台の当初目標を軽く上回った実績は、やはり、発売前から予感させていたヒットを体現したといえそうだ。今年は下半期だけとなるが、来年以降は年間4万台以上の水準も見えてきそう。アクティ・バンやバモスの時代に比べて、大幅に販売を伸ばし、スズキやダイハツ工業に肉薄する可能性が高まっていることは、間違いない。

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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