味の素がトルコのキュクレ社に惚れた! バルサミコ酢メーカーへ出資、海外戦略の試金石に

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トルコは人口7563万人、一人あたりGDP(国内総生産)が近年1万ドルを突破。東南アジア諸国より所得水準が高い。日系企業のトルコ進出も加速しており、2012年末で158社にのぼるJETROの調査による。日本政府も遅ればせながらトルコとの経済連携協定(EPA)交渉の開始を目指している。

キュクレ社は、バルサミコ酢やフルーツソースを製造する1915年創業の老舗メーカーだ。売上高は約16億円(2012年実績)と小さいが、トルコ全土で3万店超の小売店をカバーする販売網や周辺20カ国への輸出実績を持つ。これまでトルコで外食店向けにB to Bビジネスしかしていなかった味の素にとって、今後家庭用ビジネスを拡大するにはもってこいの相手だ。

従来の調味料にとどまらない展開も

一方、キュクレ社側にはどのようなメリットがあるのか。キュクレ社のサブリ・ギュレル社長は「これまでは伝統的な食事がほとんどだったが、加工食品や調味料の需要が急激に高まり、食の多様化が進んでいる」と語る。「キュクレ社の得意分野は 伝統的な食事に限られる。味の素の製品開発力やグローバルでの経験は魅力」というのが、ギュレル社長がパートナーに味の素を選んだ理由だ。

伊藤社長は「これまでトルコではインドネシアなどの現地法人を経由して家庭用製品が一部流通していたが、今後はキュクレ社と協力してサラダソースやヌードル類など現地の食習慣に合ったものを提供していきたい」と今後の展望を話す。

味の素は、グローバル成長の方向性として、流通網の拡大のみならず、「従来の調味料にこだわらない、より広い食品領域での事業展開」を標榜している。これまでの調味料「AJINOMOTO」を起点とした海外展開をからの方針転換は吉と出るか凶と出るか。トルコでの挑戦が試金石となる。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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