日本車が今になって中国で躍進した根本要因

欧米系自動車メーカーの生産台数超えへ

2つ目の要因は、1つのプラットフォーム(基本車台)を共用し、部品ユニットのグルーピング開発に加え、多数の車種を製造するプラットフォームの共通化により開発コスト・部品調達コスト削減を図れたことである。

近年日系企業は、これまでの車両セグメント別のプラットフォーム共通化からセグメントの枠を超える大規模な部品共通化戦略に取り組んでいる。

日産・ルノーアライアンスのプラットフォームCMF (コモン・モジュール・ファミリー)では、車体の構造を大きく、エンジンルーム、コックピット、サスペンション周辺の前部、車体重量を支える後部の4つのモジュールと電子制御という「4+1ビッグモジュール」に分け、車種や車格の壁を超えて共通化したモジュールの組み合わせによるクルマ作りが特徴である。同プラットフォームから生まれた「エクストレイル」・「キャッシュカイ」が中国SUV市場で人気を集めている。

設計現地化で「スター車種」作り出す

トヨタも4月にTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)プラットフォームを採用した初の中国産SUV「C-HR」・「イゾア」を発表。こうして部品種類当たりの年間発注量を引き上げるコスト戦略は、日系車の価格競争力を支えているといえる。

三つ目の要因は、設計を現地化することで「スター車種」を作り出したことである。日系メーカーはニューモデルの投入や現地向け専用車の開発などを通して、消費者ニーズにきめ細かく対応するマーケット戦略を打ち出し、特にクルマの個性を重視する若年層の取り込みに力を入れている。

日産は北京にデザインセンターを設け、「モダン・スポーティ感覚・クール」を基本コンセプトに、ロングホイールベース、大きなフロントグリルを採用。中国人の好みに合ったデザイン志向を開発に取り入れ、着実に製品競争力を高めている。

トヨタは2015年に現地で開発・生産した新型ハイブリット車「カローラ」と「レビン」を市場に投入し、高いコストパフォーマンスで中国ハイブリット車の市場シェア74%を占めている。「シルフィ」と「カローラ」の2018年1~6月の販売台数が、それぞれ現地法人の東風日産全体の39%、一汽トヨタの同54%を占めている事実からスター車種の存在は戦略上不可欠といえよう。

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