上下列車どちらかが1日1本、その反対方向へ行く列車は2本という駅は複数ある。
特急「オホーツク」が停車する遠軽(えんがる)駅から網走方面へ向かって2つ目の駅。山間部の平地に静かにたたずむ小駅で板張りのホームがあるだけ。ベンチも待合室もない。利用者は1日平均0.6人というから恐ろしい数字だ。1日4往復の特急列車は、もちろん通過。それどころか普通列車の中にも生野駅を通過する列車が何本もあり、その結果、停車する上り列車は朝7時42分発の遠軽行きのみ、下りは、13時15分発の網走行き、16時56分生田原行きの2本だけである。列車を使って訪問するのが極めて困難な駅のひとつであろう。石北本線自体は、しばらく安泰かと思われるけれど、生野駅が廃止となる可能性は高い。
特急が走る幹線だが降りられない
[市棚、北川、日向長井、北延岡]
特急列車が1時間に1本走る幹線の日豊本線にも、とんでもない駅が存在していた。佐伯駅(大分県)と延岡駅(宮崎県)の間にある県境の山間部にある宗太郎駅、市棚駅、北川駅、日向長井駅、北延岡駅という5つの駅は、延岡行きは早朝の列車が始発で終電、上りは佐伯行きが早朝と夜間に1本ずつ2本あるのみだ。
少し前までは、1日3往復のほか、延岡―市棚間に朝1往復の区間列車が運転されていたのだが、2018年3月のダイヤ改正で大幅削減となってしまった。利用者が少ないのであろう。その引き換えと言うべきか、現存する3本の列車の一部は787系特急電車が普通列車として使用される。グレードアップなのだが、実情はわずかな普通列車のために専用車両を配置するのは無駄であるという合理性のためと思われる。
次は、上下列車どちらかが1日2本、反対方向の列車は3本以上ある駅を取り上げる。
人口希薄な山岳地帯を走る山田線の盛岡―宮古間は、大正時代に首相だった岩手出身の原敬が建設を推進したと言われる。「山猿でも乗せるつもりか」と反対派に揶揄されたという逸話が残るくらいの過疎地ゆえ、宮古行き2本、盛岡行き3本の駅があっても不思議ではなかろう。
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