「100回大会で100勝」目指す龍谷大平安の戦い 原田監督「平安の監督は仕事ではなく使命」

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きついことから逃げる、厳しいことに立ち向かっていかないことも、今の子どもたちから感じることだという。

「言ってしまえば、野球って9割はしんどいですよ。うれしいことは1割しかない。それもほんの一瞬です。でも、そのうれしいこと、楽しいことの1割のために、辛抱して、辛抱してやるわけです。その1割が、9割の辛抱を超えるから楽しい。その経験をさせてあげたいと思っています。しんどいことから逃げていたら、何にもならない。辛抱の先、我慢の先にあるものを感じさせてやりたいですね」

平安の練習は厳しい。とことん、追い込む時期もある。追い込んだ先に、「ナニクソ!」という腹の奥からの力が生まれる。

「今まで、そうした経験をしてきた子が少ないんですよ。高校生のうちにそれをさせてやってから、上の世界に送り出してあげたい。本当にドロドロになって、今まで声が出なかった子が『うわ~~!』とキレて泣きおったら、ぼくはうれしいですよ。『ようやった、今の気持ちを覚えとけ!』と言いますね」

ただ――、一方では「厳しい」「しんどい」だけでは今の高校生がついてこられないこともわかっている。

平安は寮生活を送るが、スマホの使用は自由。オフは週1回必ずもうけ、22時の門限さえ守れば、遊びに行っていい。週1回は、外食の日もある。

監督の変わらない信念

この夏の大会においては、選手たちに「今大会限定」と告げたうえで、厳しさを封印して、笑顔を見せている。試合後には「お前たち、最高だぜー!」という決め台詞が定着しつつある。

監督自身が先頭に立ち、チームのムードを盛り上げる。これも、今の高校生の気質を見たうえでの指導法といえるだろう。

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でも、このやり方をずっと続けるわけではない。

「ひとつの大会は勝ったとしても、次は同じようにはいかないもの。褒めることだけしていたら、チームはどこかで緩む。だから、根底には厳しさが必要だと思うんです」

根本にある信念は変わっていない。

「夏の100回大会で100勝。これ以上ないでしょう。みんなを待たせてきたけど、『こんなにカッコええことはないで! だから、もっと100という数字を意識せい!』と言ってます」

初戦は大会7日目の第一試合、相手は鳥取城北に決まった。平安愛にあふれた原田監督率いる平安が、史上2校目となる甲子園100勝に挑戦する。

大利 実 スポーツライター

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おおとし みのる / Minoru Ohtoshi

1977年生まれ、横浜市港南区出身。港南台高(現・横浜栄高)―成蹊大。スポーツライターの事務所を経て、2003年に独立。中学軟式野球や高校野球を中心に取材・執筆活動を行っている。『野球太郎』『中学野球太郎』『ホームラン』(廣済堂出版)、『ベースボール神奈川』(侍athlete)などで執筆。著書に『中学の部活から学ぶ わが子をグングン伸ばす方法』(大空ポケット新書)、『高校野球 神奈川を戦う監督たち』『高校野球 神奈川を戦う監督たち2 神奈川の覇権を奪え! 』(日刊スポーツ出版社)、『101年目の高校野球「いまどき世代」の力を引き出す監督たち』『変わりゆく高校野球 新時代を勝ち抜く名将たち~「いまどき世代」と向き合う大人力~』、『名将たちが語る「これから」の高校野球 ~伝統の継承と革新~』(インプレス)、『高校球界を代表する監督たちが明かす! 野球技術の極意』(カンゼン)がある。『試合に勝つための㊙偵察術』(神原謙悟著/日刊スポーツ出版社)、『ピッチングマニア レジェンドが明かすこだわりの投球術』(山本昌著/学研プラス)、『二遊間の極意 コンビプレー・併殺の技&他選手・攻撃との関係性』(立浪和義著/廣済堂出版)などの構成も担当。有料メルマガ(月額450円+税)『メルマガでしか読めない中学野球』でも情報を発信している。

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