政治家の「逃げるが勝ち」がまかり通る危うさ 説明責任を果たさない政治家が多すぎる

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同性カップルも社会の一員として税金を納め、その税金が福祉予算などに使われている。子どもを持たないために控除はないが、その分を他の子育てなどに寄与しているという形だ。

また子どもをつくることを「生産的」として税金投入の価値判断とするのなら、10人の子どもを持つ女性は1人の子どもを持つ女性よりも社会で10倍優遇されるべき存在となる上に、なんらかの事情で子どもを持たない(持てない)女性は「生産的でない」ということになりかねない。

これが「個人の尊厳」に反することはもちろんだが、もっとも杉田氏が完全な私人ならば、こうした考えも「思想の自由」「表現の自由」という点で認容されてもいい。しかし杉田氏は国会議員という公職にあり、しかもその地位は憲法第43条によって「全国民の代表」と規定されている。しかもその「国民」にはLGBTの人たちも含まれているのだ。

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

杉田氏はこうしたことを認識した上で寄稿しているのだろうが、それならば舌足らずの論文だったといえる。しかも、舌足らずの論文に対する説明を行わないまま放置をしたこともあり、論文の内容が曲解され、とんでもない騒動にまで発展している。

朝日新聞出版のニュースサイトであるAERA dot.は7月27日夜、「杉田水脈衆議院議員の顔は『幸せに縁がない』?観相学で見てみたら……」という記事を配信。その内容は杉田氏の論考とは全く関係ないもので、意図的に杉田氏を貶めるものだった(28日未明には全文削除されて謝罪文が掲載された)。

同じような厳しい反応はあちこちに見られた。ジャーナリストの青木理氏は7月29日のサンデーモーニングで「極論すれば相模原で19名の障碍者を殺害した被告と同じ優生思想に繋がりかねない発想」と言及。しかしこれは2017年の衆議院選で杉田氏を優遇した安倍内閣を批判するための批判で、ここまで極端に“違法性”を拡大する必要があるのかは疑問だ。

杉田氏は今こそ国民に向かって自分の考えを説明せよ

こうした騒ぎについて自民党は当初、「議員個人の執筆活動」として静観するつもりだったが、党本部に押し寄せるデモなどを見て問題が拡大することを懸念し、党内で杉田氏に対する批判の声があることも考慮したのだろう。8月1日にはホームページ上に「LGBTに関するわが党の政策について」と題して「今回の杉田水脈議員の寄稿文に関しては、個人的な意見とは言え、問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現があることも事実であり、本人には今後、十分に注意するように指導したところ」と声明を掲載した。

杉田氏も5日の細田派の軽井沢合宿には参加せずに謹慎しているが、むしろ今こそ国民に向かって自分の考えを説明し、修正や補足すべきところがあれば、それらを表明すべきではないか。“多様性”や“共生”はひとつの思想だけが正しいのではなく、さまざまな考えが研鑽しあって理解に繋がることを意味するはずだ。その一石を投じた杉田氏には、その義務がある。加えて国会議員としての責任も重大だ。

問題が生じればただちに対応し、その真相を明らかにする。これは危機管理の原則で、政治家にも当てはまる。「いちいち会見を開いて時間をとるべきではない」という意見も一部にはあるが、問題が長引くことのマイナスを考えれば、1時間や2時間の記者会見時間はコスト面で十分に採算がとれるし、それこそ生産性が高いといえるだろう。

政治に対する国民の信頼を回復するためにも、問題を指摘された政治家には、ぜひとも自らの言葉で説明を尽くしてほしいものだ。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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