要注意!その「親心」が子どもの発想力を奪う 人材育成のプロが教える「3つの落とし穴」

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そしていちばん大切なのは、使途の自由さです。親が与えたものであろうが、いったん渡されたお小遣いは子ども自身のもの。裁判による判例でもそうなっています(笑)。いったん与えたお小遣いの使いみちに細かく口を出せば、創造性を育む練習にはなりませんし、失敗による痛みを覚えることもありません。「親のせい」と思うだけです。

子どもが変なモノを買ってきても、見て見ぬフリをしましょう。それがすぐに使われなくなって床に転がっていたとしても、いちばん悔しい思いをしているのは、買った本人でしょう。

制約があれば、子どもは驚くほど工夫する

制約が知恵を生み出した例をご紹介します。

ある日、近所のお祭りのとき、わが家の3姉妹が書斎に来て「おこづかいちょうだい」と言いました。長女が小4の頃です。私はあまりよく考えず、500円玉を1個、彼女らに渡しました。姉妹3人で500円、仲良く使いな。

でも500円は、3で丁度には割れません。どうやって3人で配分すればいいのでしょう? 200(長女)+200(次女)+100(三女)でしょうか? 166×3、余り2でしょうか? 彼女らの答えは、100×3+200、でした。

当時小学生と保育園児の彼女らは、まず数十軒の屋台を隅々までリサーチしました。どこに何があるか、どれがいちばん欲しいものか、それはいくらか。

そしてリサーチ後、まず100円ずつは個々人で好きに使うことにしました。自分の好きなものをほかの人に気兼ねなく買えるお金です。そして、残った200円はみんなで使うことに。いちばん予算が大きいから高額(200円!)なものをこれで買います。そのときの判断基準は「3人で遊べるもの」とされました。よ〜く相談して、みんなにとってダイジなものを決めました。

制限の中にこそ創意工夫や意思決定が生まれます。ジャングルの中であり余る果物に囲まれていたら、サルはサルのまま。地上に降りて、食糧が少なく競争が厳しいサバンナで生きる道を選んだからこそ、ヒトはヒトになったのです。子ども(や大人)の進化も同じです。あり余るお小遣いの中では、節約の工夫も選択の意志も、生まれることはないのです。

子育ては、子育てと思うから失敗します。わが子によかれの「親心」こそが子どもたちの発想力や意思決定力を奪うのです。子育てではなく、人材育成プロジェクトだと思いましょう。

プロジェクトだから目的があり期限と予算があります。目的は子どもの偏差値でもなんでもなく、将来の自立でしょう。期限は30年でも40年でもなく、20年前後。子どもが10歳ならあと10年くらいしかありません。そしてぜんぶ公立でも自腹で2000万円は掛かるでしょう。

この人生最大級のプロジェクトに、どう挑みますか?

三谷 宏治 KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院教授

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みたに こうじ / Koji Mitani

東京大学理学部物理学科卒業後、BCG、アクセンチュアで経営戦略コンサルタントとして活躍。2003年から2006年までアクセンチュア戦略グループ統括。途中、INSEADでMBA修了。2006年から教育の世界に転じ、子ども・保護者・教員向けの授業・講演に注力。年間1万人以上と接している。現在、KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院教授のほか、早稲田大学ビジネススクール/女子栄養大学客員教授、放課後NPOアフタースクール/NPO法人3keys理事、永平寺ふるさと大使を務める。著書多数。2013年に出版された『経営戦略全史』はビジネス書アワード2冠を獲得した。親向けの著作として『お手伝い至上主義! 』『親と子の「伝える技術」』などもある。3人娘の父で、小学校PTA会長も務めた。

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