パチンコは「大衆娯楽」でカジノに勝てるのか

客の高齢化、新規制による出玉抑制でピンチ

新規制が施行された18年2月1日以前に検定を通過した機種は、3年の検定期間満了まで使用することができるため、21年1月までに全ての台が新規制に対応した機種へ入れ替えられることになる。パチンコ台は1台40―50万円。収益力が落ちたホールはこうした投資に耐えられないということも考えられ、3年後のタイムリミットに向けて、中小ホールの一段の廃業も視野に入ってくる。

大和証券シニアアナリストの鈴木崇生氏は「約1万1000件のパチンコホールのうち、現時点で新台を入れ替えていないホールは4000―5000件あるとみられている。そうしたホールの撤退・廃業のリスクが高まる状況」と指摘。ホール全体の収入は2割減るとみている。

ダイナムジャパンホールディングス<6889.HK>の事業会社ダイナムは業界最大手ながら、展開店舗は約450店舗、パチンコ店舗網に占めるシェアは約5%に過ぎない。それでも、100店舗以上展開する会社がダイナムを含めて4社になるなど、すでに業界では、中小を買収して規模を大きくする動きが活発になってきている。

ダイナムは近い将来1000店舗まで拡大することを目指しており「これからは、コストやサービス、教育などに取り組むことが当たり前の産業になっていく。積極的に拡大するチャンスだと思っている」(佐藤公治取締役)と話している。

健全な遊戯とは

ギャンブルか大衆娯楽か──。カジノの導入で、パチンコは「大衆娯楽」の立ち位置をより明確にする必要に迫られる。

パチンコ業界誌「グリーンべると」の深谷祐佳氏は「今回の規則改正の狙いは明らかにカジノとのすみ分けにあったと思う」と指摘する。日本では運営が許可されているのは公営ギャンブルだけで、パチンコは「賭博」ではないとの位置付けだ。

今年出された政府答弁書も、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)に基づく規制の範囲内で行われていれば、刑法185条の「賭博」には当たらないとしている。日本でも解禁が近いカジノは「Game of chance」、パチンコは「Game of skill」というように、カジノは運が勝負を左右するのに対し、パチンコは個人の技術介入がある点も「賭博」ではない理由となっている。

しかし「1―2万円を使って満足できた時代はパチンコに来る客が多かった。今は、パチンコに1回行くのに10万円を用意する人も少なくないと聞く」と深谷氏は話す。1回に10万円を投じなければ勝つことができないなら、会社帰りにサラリーマンが気軽に立ち寄る「大衆娯楽」とは言い難い。業界でも「ハイリスク・ハイリターン」の進み過ぎが、参加人口減の一つの要因であるという反省は強い。

「射幸性が高くて離脱した人も、今回の新規制を機に戻るのではないか」(平和の高木氏)といった声など、規制を機に「大衆娯楽」として広く遊んでもらえるようにしたいと、業界は期待を寄せている。

ダイナムの会員のうち50代以上は61%に達している。現在は、地域の情報発信拠点やシニア同士が交流できる場としてリアル店舗の必要性を打ち出しているが、携帯ゲームが日常となっている若年層を店舗に呼び込むことができなければ、業界は先細りとなる。

かつては、新台を入れた時には店外で待つ客のために簡易トイレまで設置した福島市内のパチンコ店も、今はそういうことはないという。「パチンコ屋がなくなると、身近な娯楽としてのパチンコを楽しみにしてきた高齢者の中には行き場がなくなる人がいる」と、店を営む鈴木直美氏の危機感は強い。

大和証券の鈴木氏は「ユーザーが戻ってくるかは、遊技機のゲーム性や遊びの幅が重要になると予想される」と話している。

(清水律子 浦中大我 取材協力:安藤律子 編集:北松克朗)

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