野田総務相を襲うスキャンダルの意外な波紋 なぜ金融庁は事前に「ご注進」したのか

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もっとも情報開示請求がある場合、「請求者の個人情報にマスキングをかけて対象者に知らせることは珍しくない」と金融庁は述べている。朝日新聞記者が野田事務所のレクについて情報公開請求したケースも、記者の個人名は個人情報ゆえに伏せられたという。

だが野田総務相には「朝日新聞が情報公開請求をしている」と知らされている。情報開示請求の際に記者が差し出した名刺でもって、金融庁は「朝日新聞記者」という事実を把握していたのだ。法人名は保護される個人情報には入らないので、「朝日新聞」からの請求であることを漏らしても問題はないというスタンスだ。

野田総務相は「第三者」に該当

「一般論として事実行為を第三者に伝えるのは、法に違反するものではない」。総務省行政管理局情報公開・個人情報保護推進室の担当官は、次のような論拠で正当性を主張した。

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下、情報公開法)の第13条には、「開示請求に係る行政文書に国、独立行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人及び開示請求者以外の第三者に関する情報が記載されているときは、行政機関の長は、開示決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、開示請求に係る行政文書の表示その他政令で定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない」と記載されている。野田総務相はこの「第三者」に該当するというわけだ。

こうした言い分は一見して緻密に見える。しかし、実は非常に杜撰(ずさん)なものだ。法に基づいて右から左へと単純に動かしているのならともかく、国民の知る権利を前提とする情報公開法の精神を顧みようというかけらも感じ取れないからだ。

なぜ、金融庁は情報開示決定通知を出す8日も前に、野田総務相側に情報開示請求が行われていることを知らせたのか。その間に不都合な事項を消すなんらかの工作が行われる危険もある。というのも、レクの間に金融庁がとった記録は公文書ではなく、保存義務はないものだからだ。

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