野田総務相を襲うスキャンダルの意外な波紋 なぜ金融庁は事前に「ご注進」したのか
次になぜ金融庁は野田総務相側に「朝日新聞」と知らせたのか。「朝日新聞」は法人で個人情報保護法の対象にはならないかもしれないが、これにより「朝日新聞の記者が情報開示している」という情報が伝わり、相手方を警戒させる結果となる。
立憲民主党の会合では、「法の不備かもしれない」と法改正の必要を示唆する意見や、「(開示請求者に対する)妨害工作が生じかねない」と危惧する意見も出た。
法人名は申請書には記載されていなかった
さらに「朝日新聞」という法人名は情報開示の申請書に記載されていたわけではない。あくまで、記者が名刺を出したにすぎないのに、その情報までなぜわざわざ金融庁は野田総務相側に知らせたのかという点だ。
野田事務所が1月30日の金融庁のレクに同席させていたのは、無登録で仮想通貨交換業を行った企画会社で、金融庁は2月19日にその企画会社を行政指導している。金融庁はこの問題の内容を詳細に知るだけに、大手新聞社の名前を見て危機感を抱いたのではないだろうか。とすれば、金融庁の今回の行為は取材妨害となりかねない。
そもそも金融庁が情報公開法第13条の「第三者」を「野田事務所(秘書)」ではなく「野田聖子総務相」としたのはなぜか。金融庁は1月30日のレクが秘書の業務のひとつというよりも、野田総務相の意向の下にあったことを強く感じ取ったのではなかったか。
「情報公開法の趣旨に照らし、好ましくない行為だった。情報公開制度の信頼低下につながるおそれがあると思っている」
説明のために立憲民主党の会合に出席した金融庁総合政策局の担当官は、会合の冒頭でこう述べた。もともと金融庁は「国民のため、国益のため」をモットーとし、コンプライアンスやルールに厳しい省庁だ。今回の問題はそのような金融庁が陥った穴といえるが、この問題はさらに根深いものをはらんでいるのかもしれない。
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