「日本の民主主義」が世界で評価されない理由 池上彰が教える、「民主主義」とは何か
ただ、憲法第41条には「国権の最高機関は国会である」と定められています。ですから、三者で最も偉いのは国会、ということになります。
日本の民主主義の評価は低い
さて、その日本の民主主義ですが、世界における評価はどうでしょうか。
イギリスの『エコノミスト』誌関連のシンクタンクは、世界167の国と地域を対象に民主主義ランキングを発表しています。2016年のランキングでは1位がノルウェーで、日本は23位に位置していました。これは、先進国の中では下位にあたります。
その大きな理由の1つは投票率の低さ。最上位の北欧諸国では、投票率が80%程度に達しているのに対し、日本の衆議院選挙の投票率は50%程度と低迷している現状があります。投票率が低いのは民主主義が成熟していないから、と評価されているのです。
もう1つの理由は、女性の国会議員が少ないこと。ヨーロッパでは、女性議員は3割を占め、大統領や首相になる女性リーダーもいます。これに対して日本の国会では、 女性議員はあくまで少数派で、女性の総理大臣もいまだ誕生していません。
また、世界中のジャーナリストが組織するNGO・国境なき記者団が発表する「世界報道自由度ランキング」(2018年)を見ると、日本は67位にランクしています。2010年には11位に位置していたにもかかわらず、以降は低迷しているのです。
その大きな要因とされるのが、2011年の東日本大震災による福島第一原発事故。原発事故についての情報がオープンにならなかったため、海外のメディアから厳しい目が注がれました。さらに、特定秘密保護法の施行、フリーや外国人記者の活動制限などの問題も指摘されています。
日本は民主主義国家ではあるものの、
世界的には民主主義のレベルは「低い」とされています。
この状況を変えられるのは、私たち国民一人ひとりです。
●民主主義とは国民が国のあり方を決める政治体制のこと
●日本は資本主義と民主主義を両立させている国
●日本は民主主義後進国とされている
“知っているようで知らない”「民主主義」という言葉の意味と、日本が置かれた状況についてざっと解説しました。
日本が民主主義を採用したのは、第2次世界大戦の後のこと。このまま自動的に継続される制度というわけでもありません。国民として、この政治の仕組みをしっかり知っておく必要があるのです。
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