子連れ再婚の熟年夫婦変える民法改正の波紋 新設の「配偶者居住権」とはどんな権利か

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父が再婚相手に配偶者居住権を遺言で残していて、子がその不動産の所有権を相続するという、つまり「居住者」と「所有者」が分離したケースでは所有者が相続税や固定資産税を負担しているのに利用することができないといった面から、トラブルが起こる可能性が高いと言えるかもしれない。

さらにこのような権利付きの不動産はまず売却できない。これまでの法制度では、遺産分割協議の中で不動産を売却して金銭で分けることができていたが、配偶者居住権が設定されている自宅の場合は、子としては金銭に換えることが難しくなる。

残された配偶者にとっても悩みの種になる?

配偶者居住権の設定後、妻のほうが病気により自宅での生活が困難となってしまい、数年で介護施設に入所することになったような場合、配偶者居住権は不要なものとなってしまう。この権利は転売できない権利とされていて、金銭に換えることはできないわけで、こうなると、遺産として得た権利が無駄なものとなってしまい、「こんなことになるのであれば不動産を売っておカネで分けておいたほうがよかった……」という事態にもなりかねない。

残された妻からしても配偶者居住権を受けるかどうか慎重な判断が必要となる。

法律の施行は公布から2年を超えない範囲で別途政令にて定める日とされている。今はまだ法律が成立したという時点でこれをどのように運用するかはこれからの検討課題である。

及川 修平 司法書士

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おいかわ しゅうへい / Syuhei Oikawa

24歳の時に司法書士登録し開業。開業当初より、成年後見制度を利用し、認知症などで判断能力が低下した方のための支援を行ってきた。成年後見人としての業務を行う中で、現在、ニュースでも取り上げられている認知症患者の徘徊の問題にも向き合っている。
 

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