子連れ再婚の熟年夫婦変える民法改正の波紋 新設の「配偶者居住権」とはどんな権利か

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いずれどちらかが先に亡くなったときに不動産はどうなるか(写真:プラナ/PIXTA)

【2018年8月7日11時追記】配偶者居住権についての解釈に誤解があったため、記事初出時からの表現を一部見直しました。

相続のルールを定めた民法が40年ぶりに改正された。通常国会の会期が延長されたと思ったら、こっそりと成立してしまったという印象だ。

改正のポイントがいくつかある中で、注目の1つは、「配偶者居住権」という権利が新設されたことだ。これは今回の改正の目玉であるのだが、この配偶者居住権、実は熟年結婚の夫婦や、その家族に大きな影響を及ぼす可能性がある。

配偶者居住権ってそもそもなに?

配偶者居住権とは、配偶者が死亡した後、残された夫婦の一方がそれまで住み慣れた自宅(持ち家)での生活を続けられるようにしようと新設された権利だ。

あくまで残された配偶者が「居住する」ために特化して作られた権利で、最長でその残された配偶者が亡くなるまでの間、自宅に住み続けることができる。

「居住するためだけの権利」というとわかりにくいかもしれないが、例として、相続人が妻と子1人だったとして、妻が配偶者居住権を持ち、子が実家の所有権を相続したとすると、子は妻(子から見たら母)に対して、最長で母が亡くなるまで実家建物を貸しているような状況となる。

この配偶者居住権については、故人が遺言で「自分の死後は残された配偶者のために配偶者居住権を設定する」と書いていた場合や相続人間で遺産分割をする際に合意によって設定するなどの方法がある。

厚生労働省の調査によると、「介護が必要となった場合どこで介護を受けたいか」との問いに対しては73.5%もの人が「自宅」での介護を希望すると答えている(平成30年版高齢社会白書より)。この配偶者居住権は、高齢になってもできるかぎり自宅での生活を続けたいとの希望を実現するうえで新しい選択肢となりそうだ。

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