サンリオ創業家専務が描く「キティ復活」戦略 29歳の「プリンス」が描くキティの未来

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――サンリオが自社商品を販売するサンリオショップの位置づけはどうなるのか?

サンリオがライセンス先からのロイヤルティ収入を中心に利益を出していくということは変わらない。しかし、自社商品を売る店舗はサンリオの顔として重要だ。店舗では収益を出すだけでなく、サンリオのキャラクター体験の場として、ブランド価値の向上につなげる場にしていきたい。

現在のサンリオショップはキャラクターの熱心なファン向けの店舗になっている。しかし、コアなファン層以外にもサンリオを知ってもらい、ライセンス先へのブランド価値の提案にもつながるよう、商品開発、ショップのあり方を考えていかなくてはいけない。

まずはモデルタイプの新店舗を来年初めくらいまでに構築し、分析したうえでほかの店舗にも展開していく予定だ。

――業績が低迷している欧米など海外はどう立て直すのか?

一番業績への影響が大きく、一番難しいのが海外。国によって文化や嗜好性が違うため、国ごとに最適化した戦略が必要になる。これからの成長の中心となるのは間違いなくアジアであり、不振に陥っている欧州、米国については止血戦略をとり、復活させる方針だ。

辻朋邦(つじ ともくに)/1988年生まれ。慶応義塾大学卒業後、事業会社勤務を経て2014年1月にサンリオ入社。2016年6月に取締役企画営業本部副本部長を経て、2017年6月より専務取締役

欧米では主要なライセンス先である小売業の市場環境の変化にあわせ、eコマースへの対応を進めている。ハローキティの認知度は今でも非常に高いため、今後3年間でリブランディングを実施しながら、ライセンシーへの販売を再度強化していく。

そして、現在人気が出ている「ぐでたま」や「アグレッシブ烈子」といったハローキティ以外のキャラクターも育成していく。方針が定まっていない状態で業績が悪化したため対策が遅れてしまったが、中計を軸にいいサイクルに戻れば回復は早いはずだ。

中国が海外成長の柱

一方、中国やアジアでのビジネスは足元でも伸びている。しかし、市場のポテンシャルはそれ以上に大きい。欧米と違い、アジアではハローキティ以外のキャラクターも幅広く育ってきている。既存のライセンシーとの関係をさらに強化していくことはもちろん、中国でも存在感が大きいeコマースの市場に力を入れていく。巨大な人口がいる中国市場で広く認知度を上げるために、メディアを使った効果的なプロモーションも計画している。

――サンリオの将来の後継者候補との見方もあることについてはどう受け止めているか。

期待されているのであれば、それに応えたいという思いはある。現状に対する危機意識は、社内の誰よりも強いつもりでいる。

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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