29歳、創業家出身専務はサンリオを救えるか 欧米のライセンス事業失速で業績は苦戦中

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稼ぎ頭だった欧米事業の失速でサンリオの業績不振が続いている(撮影:今井康一)

「ハローキティ」や「マイメロディ」、「ぐでたま」など数々の人気キャラクターで知られるサンリオが、数年に及ぶ業績不振に陥っている。

同社は2018年3月期の業績見通しについて、2月14日に今期2度目となる下方修正を行った。売上高は593億円(前期比5.4%減)、営業利益が53億円(同23.2%減)と大幅な減収減益に沈む見通しだ。

好調だった2014年3月期に売上高770億円、営業利益210億円をたたき出した後、4期連続の減収減益トレンドが続いている。

ライセンスビジネス不振で業績は低迷

不振の要因は、欧米におけるライセンスビジネスの低迷にある。サンリオはハローキティを中心に欧米でアパレルブランドや小売量販店などに対するキャラクター商品化権のライセンスビジネスに力を入れている。

商品化はライセンス先が行い、サンリオはその売り上げに応じた収入を得るというライセンス事業は、自社で商品の製造販売を手掛ける場合に比べて収益性が非常に高いビジネスモデルでもある。

サンリオが自社で知的財産権(IP)を持つハローキティは、米国の歌手レディー・ガガなど著名人が愛用しており、世界的な知名度が高い。

シンプルなデザインでライセンス先に合わせた柔軟な対応が可能であることから、H&MやZARA、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ウォルマートなど幅広い業種に顧客を広げてきた。

このようなライセンスビジネスで2014年3月期には北米と欧州合わせて売上高で300億円超、営業利益で約150億円と、当時の全社の営業利益の過半を稼ぎ出していた。

しかし、米ウォルト・ディズニーの「アナと雪の女王」といった新しいキャラクターの台頭や、ライセンス先の小売量販店が米アマゾンの台頭などEC(電子商取引)化の流れで販売不振に陥ったことなどにより、前2017年3月期に同地域の売上高は107億円、営業利益で約20億円にまで急減速。

こうした状況に対して、サンリオはさまざまな対策を講じている。1つはハローキティに偏重する海外でのキャラクターポートフォリオの分散だ。欧米地域では2011年に買収した英国の「ミスターメンリトルミス」や、ぐでたまといった、キティ以外のキャラクターの構成比率を高めていく方針だ。

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