29歳、創業家出身専務はサンリオを救えるか 欧米のライセンス事業失速で業績は苦戦中
米国では、量販店での販売拡大などで大衆化したキティの価値を、ブランド品や専門店向けを強化することで向上につなげる施策にも注力している。一方、欧米とは対照的に中国でのライセンス収入が拡大を続けているなど、明るい兆しも見えてきている。
そして、同社は今度の5月の本決算に合わせて、新年度からの中期経営計画の発表を予定している。この中計を中心となって策定しているのが、創業者の辻信太郎社長の孫である、辻朋邦専務(29)だ。
「戦術」から「戦略」への転換
朋邦専務は2017年6月の株主総会で信太郎社長に次ぐ2番手の取締役候補に名を連ねており、将来的には90歳を迎えた信太郎社長が引退、朋邦専務が次期社長に就任することが有力視されている。
朋邦専務は2010年に慶応義塾大学を卒業後、サンリオとは別の事業会社に入社。しかし、当時サンリオの副社長を務めていた父の邦彦氏(信太郎社長の長男)が2013年11月に出張先の米国で急逝。
その後2014年1月にサンリオに入社し、企画営業本部執行役員などを経て2016年6月に取締役に就任。2017年6月の株主総会後には専務取締役に昇格している。
「これまで戦術で戦ってきたサンリオを、顧客至上主義に基づいた戦略的な会社にしていきたい」
朋邦専務は2017年11月に開催された中間決算説明会で登壇。今後のサンリオが目指すべき方向性の一端として、キャラクターごとにKPI(主要業績評価指標)を設定して投資先の集中と選択を進めること、サンリオのキャラクターグッズを販売する店舗にAR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった新しい技術を導入して、キャラクターのブランド力向上やライセンスビジネスの拡大につなげる場とすること、物販におけるECプラットフォームの整備などを掲げている。
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