サンリオ創業家専務が描く「キティ復活」戦略 29歳の「プリンス」が描くキティの未来

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ライセンスビジネスでも同じで、ライセンス先だけでなく最終顧客のことを考え、最適なキャラクターを提案していかなくてはいけない。現状では、全社で共通したキャラクターのブランド定義がなく、お客様に提案する価値がぶれてしまうという問題があった。

欧米を席巻したハローキティもブームは一巡している(撮影:今井康一)

キャラクターのブランド価値と最終顧客の求めるものが一致しなければ、ライセンス先の商品の販売不振につながってしまう。それは顧客であるライセンス先にとっても、キャラクターのブランド価値にとっても良くない。

そこで、4月からマーケティング本部を新設し、それぞれのキャラクターにどのようなブランド価値があるか、再定義を進めている。そのうえで、最適なプロモーション、営業スタイルに変えていきたい。特に、来年45周年を迎えるハローキティの立ち位置は、他のサンリオのどのキャラクターとも違う。単なる「カワイイ」、「愛らしい」を越える価値を持っている。

サンリオの既存キャラクターのポテンシャルは変わらず大きい。改革をしなくてもそれなりにはやっていけるかもしれない。しかし、10年、20年と成長し続けられる体制を作るためには、戦略的な企業に改革しなくてはいけないと考えている。

アニメ、ゲームから新規IP創出

また、新規キャラクター、IP(知的財産)の開発を目的として、アニメ、ゲームの事業部を立ち上げた。サンリオの持つキャラクター育成のノウハウも活用して、この分野に従来以上に投資をしていく。新規IPを創出していくことは、グローバルなサンリオの企業価値向上にもつながる。

海外ではハローキティの知名度は高いが、サンリオという会社名はそれほど知られていない。新しいIPを創出し続けることで、キャラクタービジネスの先端企業であるというブランド価値を浸透させていきたい。

アニメ、ゲームはヒットすると収益貢献が大きい。しかし、競争が激しい分野でもあるため、一時的なヒットを狙うのではなく、投資対効果を見極めながら安定的に成長する仕組みを作っていきたい。

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