「立教大野球部」は勝つ組織にどう変わるのか 就任5年目の溝口監督が描く「常勝チーム」

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溝口 智成(みぞぐち ともなり)/立教大学野球部監督。1967年神奈川県生まれ。1987年立教大学野球部に入部。卒業後、リクルートに入社し社会人野球でプレー。1997年に引退後はキャリア開発に関する業務に携わる。2014年から現職(撮影:風間仁一郎)

時には、監督自らが厳しく叱責することも、同じことを何度も何度も諭すこともある。

「野球は失敗するスポーツです。エラーをしない人間なんかいません。自分がおかしなプレーをしたときこそ、耳を立てろと言っています。

うまくいかないことが普通で、だからこそ、そのときの対処が大事なんです。

失敗したとき、打ち込まれたとき、打てないとき、どうするか。大学以上のレベルになれば、人間性がしっかりしていないと野球はうまくなりません。大事なのは、ミスはミスとして認めること、謝るときにきちんと謝ること。そのあとに対処すること。

うまくいかないときに人間性が出ると思っています。だから、細かいことも言うんです。大事なこと、気になる点については言い続けなければいけない。そうしないとわからないですから」

この秋は本当に勝負のシーズンになる

5年目の秋のシーズンを迎える監督は自身の課題をどう考えているのだろうか。

「いまの選手たちは、褒めてやらないと伸びません。彼らが求めているのもわかっています。ただ、私はそれがうまくない。その自覚がありますから、結果が出ないときでも、プロセスやちょっとした変化を褒めるように心掛けています。

『できて当たり前』と思うのが自分の性格なのですが、そこがウイークポイントだと思っているので。まだまだヘタですが、少しずつやっています(笑)」

この秋のリーグ戦が正念場だと溝口監督は言う。

「2シーズン優勝を逃したことに対して、部員全員がどれだけ危機感を持てるのか。この秋に優勝できなければ3季空くことになるので、本当に勝負のシーズンです。私たちが戦うのは神宮球場ですが、実は、あの場でやることは多くない。

立教大学新座キャンパスにある野球部のグラウンド(撮影:風間仁一郎)

勝負どころでの采配はもちろん大切ですけど、選手たちがどんな状態で神宮球場に向かうかが気になります。

春のリーグ戦で優勝できなかったという結果を踏まえて何をするか。リーグ戦が始まるまでが勝負なんです」

秋のリーグ戦開幕まで1カ月余り。はたして、暑すぎる夏を越えて、立教大学野球部は「優勝が当たり前のチーム」になれるのか。

元永 知宏 スポーツライター

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もとなが ともひろ / Tomohiro Motonaga

1968年、愛媛県生まれ。立教大学野球部4年時に、23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験。大学卒業後、ぴあ、KADOKAWAなど出版社勤務を経て、フリーランスに。直近の著書は『荒木大輔のいた1980年の甲子園』(集英社)、同8月に『補欠の力 広陵OBはなぜ卒業後に成長するのか?』(ぴあ)。19年11月に『近鉄魂とはなんだったのか? 最後の選手会長・礒部公一と探る』(集英社)。2018年から愛媛新聞社が発行する愛媛のスポーツマガジン『E-dge』(エッジ)の創刊編集長。

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