「立教大野球部」は勝つ組織にどう変わるのか 就任5年目の溝口監督が描く「常勝チーム」
いまから1年ほど前、立教大学野球部が東京六大学リーグを制し、59年ぶりに日本一になったニュースをどれだけの方が覚えているだろうか。全日本選手権決勝が行われた神宮球場にはOBの長嶋茂雄氏も駆けつけ、スポーツ紙の一面を飾った。池袋で行われた祝賀パレードには7000人を超えるファンが集まったという。
あれから1年。当然のことながら、あの熱狂はもうない。
早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学、法政大学、立教大学、東京大学の6校で争う東京六大学野球連盟は、最古の歴史を誇る野球リーグだ。そのなかで13回しか優勝したことのない立教は強豪とは言いがたい。優勝回数は、1位の早稲田の45回に遠く及ばず、4位の慶應(36回)にも20回以上の差を付けられている(最下位は優勝したことのない東大)。
だからこそ、昨年春のリーグ戦優勝、全日本選手権の快進撃がニュースになったのだ。長くBクラスに甘んじ、優勝できないことが当たり前だったチームはどう変わったのか?
選手時代に優勝を経験した監督が導いたリーグ優勝
監督就任4年目で18年ぶりのリーグ優勝を飾った溝口智成監督は選手時代に2度の優勝を経験している(1989年秋、1990年秋)。立教大学卒業後の1991年4月、リクルートに入社し、野球部に所属した。1997年に選手引退、キャリア開発にかかわる業務を担当したのち、2014年に退職して母校野球部の監督に就任した。
その溝口監督は言う。
「去年の春は優勝しましたが、秋のリーグ戦は4位、この春は2位で終わりました。東京六大学でいえば、勝つ組織とは優勝するチームのこと。2シーズンも優勝を逃したことで、『優勝が当たり前になるチーム』になるのは簡単ではないと感じています」
長嶋をはじめプロ野球に多くの名選手を送り出したことで、早稲田、慶應、明治、法政と同等に語られることもあるが、実力と実績において劣ることは否めない。
「立教大学野球部は約50年間で5回しか優勝していません(1966年春、1989年秋、1990年秋、1999年秋、2017年春)。この間、勝てなかったという事実があり、負の伝統が積み重なっていました」(溝口監督)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら