「立教大野球部」は勝つ組織にどう変わるのか 就任5年目の溝口監督が描く「常勝チーム」

拡大
縮小

だが、理想と現実は違う。実際に180人もの部員が同じ気持ちになることは難しい。

「そのためには、本気で物事に向き合わせることが大事だと思っています。負けたということに対して、失敗したということに対して、どれだけ真剣に向き合うか。優勝できなかったということに対して、理由や課題に本気で向き合っているか。課題を設定しただけで行動が伴わなくて、感情の変化もない。そういうことがありとあらゆるところにある」

平日は授業優先のため、一軍メンバーが全員そろって練習することができない。ひとりの選手がグラウンドにいる時間は平均2時間程度だという。

「技術レベルによって、1軍から4軍まで分かれていて、4学年の選手がそれぞれ、属しているところが違うわけです。キャンパスもふたつ(池袋と新座)あります。まとまるということに関して難しいのは事実です。

軍も学部も違えば、同じ学年の選手でも顔を合わせることが少ない。1年生のときは雑用があるのでまだ大丈夫なのですが、学年が上がれば接点が少なくなってしまう。でも、180人の部員が、基本的に寮生活をするようになり、組織として血が濃くなり始めています」

失敗したあとの対処が一番大事

チームマネジメントの肝になるのはやはりコミュニケーションだ。

180人ともなる大所帯をまとめ上げる溝口監督(撮影:風間仁一郎)

「30年前の監督と選手の関係よりも、コミュニケーションは濃いと思います。180人全員と個別に話すのは難しいですが、監督と選手というよりも、サポーターのような感じで接しています。

話を聞きながら、という関係でないとうまくいかない。大学生には考える力があります。

学年が上がるごとに気持ちが大人になるし、自立してくるので、上から一方的に言うだけでは動かない。本人に任せる部分と考えさせる部分をつくって、自分から行動するようにと考えています」

次ページ監督が感じる課題
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT