「夫へのマイナス感情」をプラス転換する妙策 やり場のない感情を社会課題解決に活かす道

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アドボカシーとは、社会問題のステークホルダーに語りかけ、課題を解決していく市民活動だ。ここ最近、若者を中心に、政治家に政策提言するNPOや一般社団法人が増えてきている。

とはいえ、「市民活動ってちょっと怖い」「政治って遠い世界のこと」などと思われる方も多いかもしれない。5年前の筆者も同じ気持ちだった。

だが、それほど案ずることはない。自分が思う社会課題や活動内容に合わせて選択することも可能だ。

プラカードを持って行進する団体もあれば、政治家にロビーイング活動(直接対話)したり、学びと交流の場として勉強会を実施したりする団体もある。

ちょっとしたイベントへの参加で、思いがけない出会いや、地域を越えた交流がある。活動に参画すれば、自分の得意分野で活躍できたり、異なる視点を得られたりして、ひょっとすると人間的成長を遂げられるかもしれない。

少なくとも筆者は、アドボカシー活動のおかげで多くのものを得られたし、自らの手で「希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会」という市民団体をつくってしまった。

やり場のない感情を変革の力に

そもそも、やり場のない感情の矛先を大切なパートナーにぶつけて破局の道へ進むのではなく、社会の課題解決に向ければ、自分の能力を大いに発揮できる。そのうえ、社会貢献にもつながり、子どもたちに今よりも良い世の中を継承していける。

もっと言えば、夫の長時間労働が改善されないのは社会の制度に一因があるし、妻がマミートラックにはまるのは、政治がもたらす保守的な文化にも一因がある。つまり、政治と生活は密接にかかわっている。政治が良くならなければ永遠に今のままなのだ。

悲しいかな、社会問題は気がついた誰かが動かないと変わらない。その変革の第一歩を踏むことは、誰にでもできるはずだ。

天野 妙 合同会社Respect each other代表、みらい子育て全国ネットワーク代表

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あまの たえ / Tae Amano

日本大学理工学部建築学科卒業。株式会社リクルートコスモス(現コスモスイニシア)等を経て、性別・役職・所属・国籍に関係なく、お互いが尊敬しあう社会づくりに貢献したいと考え、起業。ダイバーシティ/女性活躍を推進する企業の組織コンサルティングや、研修など、企業の風土変革者として活動する傍ら、待機児童問題をはじめとした子育て政策に関する提言を行う政策起業家としても活動中。

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