インドネシアの住民がワニを大虐殺したワケ

住民数百人がワニの飼育施設を襲撃

西パプア州の天然資源保護局ではこうしたワニの大量殺害を厳しく非難するとともに自然保護法や他人の財産破壊法に違反する可能性があるとみて「地元警察と協力して捜査を進めたい」としているがこれまでに関係者が逮捕されたとの報道はない。

後を絶たない野生動物による被害 共存が課題

襲撃されたワニ飼育施設は2008年に環境林業省から正式の許認可を受けて開設され、特定種のワニの飼育・保護に当たっていた。

許認可条件の中に「地域社会に害を及ぼさない」との1項があることから、住宅地区から約1キロの距離が妥当な条件だったのか、についての見直しも進められるという。

環境林業省では7月16日に同飼育園の営業許可を停止する措置を講じた。

ニューギニア島で住民がワニを虐殺したことを伝える現地メディア KOMPASTV / YouTube

インドネシアでは2016年3月に同じ西パプア州の観光地ラジャ・アンパットの浅瀬でシュノーケリング中のロシア人男性がワニに襲われて死亡したほか、2018年2月にはスマトラ島ジャンビ州の農村で川の近くにでかけた66歳の女性が巨大ワニに襲われて死亡する事件が起きている。さらに2018年3月1日には東カリマンタン州クタイ県の川で男性が行方不明になり、警察官が近くにいた体長約6メートルの巨大ワニを射殺して解体したところ、腹部から男性の遺体の一部が発見されるなど、ワニによる事故は後を絶たないのが現状だ。

インドネシアではこうしたワニによる襲撃の他、巨大なヘビが人を丸呑みするような被害も発生している。

2018年6月14日夜に南東スラウェシ州ケンダリ南方のムナ島で54歳の女性が行方不明になり、家族総出の捜索の結果、腹部の異様に膨れた全長約7メートルのニシキヘビが発見され、捕獲・殺害して解体したところ、腹部からこの女性の遺体が発見され、大きなニュースになった。巨大ヘビ被害はこれまでも複数件報告されており、農村部やジャングルでは特に警戒が必要となっている。

その一方で野生の象やオランウータンが「農地を荒らした」などの理由で射殺や毒殺される事案も起きている。オランウータンは絶滅の危機に瀕した保護動物に指定されており、殺害は違法であり、インドネシアはこのように人間と自然そして動物との「共存関係」が大きな課題となっている。

大塚智彦(おおつか ともひこ)/ジャーナリスト。PanAsiaNews所属。1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に『アジアの中の自衛隊』(東洋経済新報社)、『民主国家への道、ジャカルタ報道2000日』(小学館)など。
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