新品の本にブックカバーをする日本人の機微 確かにハウツー本のタイトルは恥ずかしい

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それから、悩みを解決するために本を読むという考え方は新鮮だったので、これにも驚きました。何か悩みを持っているときは、ギリシャ人の場合、両親や年齢が上の友人に相談することが多いです。インターネットにある記事に目を通すことはありますが、本一冊読むという人はあまりいません。

ヨーロッパというと、日本の方は「自由」なイメージを持っている方も多いと思いますが、ギリシャやイタリアなど南欧の国は意外と保守的です。なので年長者の言うことを尊重する傾向があります。

もしもお母さんに見つかったら・・・

以前にも書いたように(外国人が日本に来て感じる「美徳と違和感」)、困ったことがあると両親に相談しますし、また年齢が自分より上で、いろいろなことを経験していそうな人を頼ることもあります。そこからのアドバイスが正しいかどうかは別の話ですが……。

もしお母さんが掃除をしていて、『話し方のコツ』の本を見つけてしまったら大変です。「もしかして学校でいじめられているのでは?」と、とても心配します。そして、お父さんに電話して家族会議が始まります。子どもが帰宅すると、真剣な表情で両親が座っていて「まあ、そこに座りなさい……」という感じで始まり、「悩みがあるならちゃんと言いなさい!」と大事になってしまうかもしれません。

もちろん、日本でも両親や他の人に相談をする人はいると思いますが、悩みを解決するためのハウツー本が多く売られているということは、それだけ本を読むことで悩みを解決しようとする人が多い証拠だと思います。

でも、こういうハウツー本は、タイトルや本のそでに書いてある要約がとても興味を引くものになっていますよね?『いい人をやめる本』というタイトルの本を見つけたときは「え!?悪い人になれってこと?」と思って、思わず立ち止まってしまいました。このようなハウツー本をついつい手に取ってしまう人の気持ちがわかったような気がしました。

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