がん発見がうっかり見過ごされる現場の実態

主治医に「大丈夫」と言われても油断できない

主治医が診療で病気をうっかり見落としてしまうケースが存在する(写真:Fast&Slow/PIXTA)

最近、胃腸の調子が悪い。あるいは、検診で精密検査を受けろと言われた。いろいろな理由で胃や大腸の内視鏡検査を受けた方も少なくないと思うが、後日、検査結果を聞きに、外来を必ず受診しているだろうか。

実は、主治医の「病理診断結果の確認漏れ」により、病気が放置されることが問題となっている。公益財団法人日本医療機能評価機構からも、医療機関宛てに注意喚起がなされている。

主治医が内視鏡検査を行い、病理診断報告書も出ていたが、患者が来院しなかったため、カルテが一度も開かれないまま時間が過ぎ、別の医師が2年前の病理診断報告書で「悪性」の所見が出ていたことに気づいた、というような事例が報告されている。

チェック体制が整った病院であれば対応できる

がん治療の遅れは、命にかかわる。病理診断報告書の確認忘れはゆゆしき事態である。いったいどういうケースでそのようなことが起こりうるのであろうか。

筆者のもとには普段、患者のガラススライド標本が届く。それを見て「最終診断」を下すのが病理医の仕事なわけだが、稀に、内視鏡検査を行った主治医が、がんをまったく疑っていないケースに出くわす。

あるとき、胸焼けを主訴とする40歳男性の標本が届いた。ガラススライドの上に載っている数ミリ大のサンプルを見ると、少し赤みの強い粘膜の部分から「生検」と記載されている。「生検」とは、患部の一部を切り取って顕微鏡などで調べる検査を指し、内視鏡検査では病変が確認された場合に行われる。

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