がん発見がうっかり見過ごされる現場の実態 主治医に「大丈夫」と言われても油断できない

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いくら検査の技術が進歩しても、病気が早期であればあるほど発見が難しい。仮に今後、AI(人工知能)が診断をサポートするようなことになっても、想定外の事態を100%なくすことは不可能であろう。

よって、治療を受ける患者側も、常にこの想定外の事態は頭の片隅に置いておくことは必要であろう。せっかく早期で見つかった病気を確認漏れで進行させてしまうのは、なんとしても避けなければならない。

面倒でも後日あらためて外来受診を

病気の最終診断は、病理診断である。

画像診断は、病気の細胞そのものを観察しているわけではないので、最終診断とはならない。内視鏡による観察も病気を「肉眼」で観察しているけれども、ミクロのレベルで細胞を確認しているわけではないので、最終診断とはならない。

病気の細胞を直接、顕微鏡を使ってミクロレベルで観察して診断を下す病理診断のみが、最終診断となるのである。このことを知っておくことはとても大切である。

精密検査を受けた際は、病気の部分を直接採取する病理検査が行われたのかどうか、主治医に確認することをお勧めする。

また、その病理検査の結果も、必ず再度受診して確認することが大切である。

病理診断結果が出るまでには、最低1週間はかかる。採取された細胞をガラススライドで観察できるようにするには、さまざまな加工が必要であるからである。

病理検査室がない病院では、検査を外注しているため、診断結果が出るまでにさらに時間がかかる場合も多い。検査当日の「大丈夫そうですよ」という主治医の言葉に安心せずに、多少面倒でも後日、外来を受診し、病理診断結果を必ず確認するべきである。

小倉 加奈子 病理医

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おぐら かなこ / Kanako Ogura

順天堂大学医学部附属練馬病院病理診断科先任准教授、臨床検査科長。2006年順天堂大学大学院博士課程修了。医学博士。病理専門医、臨床検査専門医。2014年よりNPO法人「病理診断の総合力を向上させる会」のプロジェクトリーダー。病理医や病理診断の認知度を上げる広報活動として、中高生を対象とした病理診断体験セミナーや、がんの出張授業などを幅広く行っている。プライベートは高校1年と小学6年生の2児の母。松岡正剛氏が校長を務めるイシス編集学校の師範としての指導の経験を活かし、医療と教育をつなぐ活動を展開している。

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