日本株が息長く上昇する「3条件」が出揃った 投資家は「長い物差し」で相場を見るべきだ
一方、同じ2018年6月に海外投資家は6641億円も売り越した。日本株の売買シェアの7割を握る海外勢だが、その大半はヘッジファンドの短期売買が占める。その基本スタンスは順張りの傾向が強い。HFT(高頻度取引)と呼ばれる一定のアルゴリズムに従って、蛍光灯の点滅(50~60分の1秒)よりもはるかに速いミリセカンド(1000秒の1秒)で高速売買を何度も繰り返す。
国内の個人投資家の一部にも、複数のパソコンモニターに囲まれながら、プロ顔負けの高速取引を駆使し、瞬間を利用して利ザヤを積み上げている強者もいる。しかも近年は、こうした取引もAI(人工知能)を使い、パソコンからスマホへ移りつつある。手軽に親指操作のタップによって、高速かつ自動売買が可能になってきている。
これは大口注文を小口に分ける分割注文(スライス発注)や資産分散するポートフォリオ運用等には有用だろう。ただ、「おまかせ」や「かんたん」といった便利さの裏側には落とし穴がある。万が一、高速かつ自動売買が誤作動した場合、損失を限定するためのロスカットや逆指値注文をしておくことも重要だ。
さらに時として、海外勢に追随する個人の投資行動も要注意だ。例えば、6月の海外勢による売り越しに釣られ、個人投資家が高速かつ自動売買を使い、日本株の現物を売っていたらどうだろうか。足元の反騰相場はほとんど享受できていないはずだ。それよりも海外勢が売り越したのだから、「そろそろ売りが一巡するかも?」という客観的視野が重要だ。目先の相場の急落や急騰に流されないためにも、俗に「マーケットの5合目」といわれる長期移動平均線(200日線や52週線)は常に押さえておきたい。
時間軸の側面からは、「超短期」は投機であり、長期こそが投資ともいえる。本来は成長性、社会性、市場性の伸びが高い企業へ長期投資するのが基本だ。とはいえ、過去最高値を更新している米国株にはこうした「長期投資の論理」が通用しても、長らく低迷が続いていた日本株には中期スパン(速すぎず、遅すぎず)である程度の売買が必要なのも事実だろう。
それでも、だ。日本株で「あせらずゆっくり」と「逆張り」で堅実な運用をするためには、海外投資家ではなく、先述のような信託銀行の動きに注目しておきたい。日本株の下値を拾うタイミングを図るうえで、重要な指針となる。
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