タイヤ選びに迷う人に教えたい基本と応用 ワゴンとスポーツカーで同銘柄を履くと?

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今回、Cクラス(1680kg)とNDロードスター(1010kg)に同じV105を装着したわけだが、当然ながら車両重量が大きく違うこと、さらには車両の性格がまるで違うことから乗り味としてはどんな違いがあるのか興味津々であった。

結果的に、2車に共通する点はトレッド面でしっかりと路面をとらえる力強いグリップ力と、ステアリングを切ることで発生するロール(横方向への車体の傾き)を、タイヤのサイドウォールでしなやかに支えるという性能であることがわかった。

ただ、車両重量と車両の性格が違うことから、Cクラスでは力強い直進安定性とカーブでも腰砕け感のないしっかりとした乗り味が強まることに対して、軽量なロードスターではしなやかさを直進、カーブともに感じさせるような乗り味であることが再確認できた。ロードスターの場合は専用設計タイヤであることから、こうしたチューニングを施すことができていると、以前、ロードスターの開発者から聞いている。

タイヤの選択には頭を悩ますことだ

タイヤの性能はなかなか目に見えないだけに選択には頭を悩ますことだろう。30年以上前には新車に標準装着されているタイヤから、グリップ力を重視したスポーツタイヤへ履き替えることがブームになったこともあったが、今ではタイヤの開発技術が細分化し、車両の特性に見合った「専用タイヤ」として購入できる時代になった。

専用タイヤには春、夏、秋シーズンにむけた夏用タイヤ(サマータイヤとも呼ばれる)のほか、冬場の環境に特化した冬用タイヤ(ウインタータイヤとも呼ばれる)がある。このうち、夏用タイヤではハイパワーセダン向け、ミニバン向け、SUV向けなど車両の運動特性に見合うようにタイヤの性能を作り込んだ製品が各タイヤメーカーから販売されている。

タイヤの性能には乾いた路面でのドライグリップ力、濡れた路面でのウエットグリップ力など、タイヤが地面をとらえ続ける力のほか、地面とタイヤがふれあうことで発生するロードノイズや、段差を乗り越えた際の衝撃吸収力、ステアリングを握るドライバーの触感として伝わるドライブフィールなどが大きな評価ポイントとしてあげられる。加えて、走行距離を重ねるごとに減っていく耐摩耗性という観点も重要だ。

西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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