タイヤ選びに迷う人に教えたい基本と応用 ワゴンとスポーツカーで同銘柄を履くと?

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静粛性も向上した。実のところ交換前もドライ路面での走行安定性はそれなりに満足していたものの、硬化したトレッド面が要因となり、交換直前の頃には80km/h以上でのロードノイズが極端に目立ち、オーディオのボリュームを2コマほど上げていた経緯があった。それがV105では、同じ道路で同じ曲を聴いている状況でもボリュームを上げる必要がなくなった。これはトレッド面に刻まれた「サイレントサイプ」と呼ばれる斜め方向の溝による効果だ。静粛性については、まさに設計どおりの性能を実感できた。

ウエットな路面での走行安定性が高まった

筆者にとっては、ウエット路面での走行安定性が高まったことも心強く感じられた。これには、ゴムの成分に含まれるマイクロシリカ(二酸化ケイ素/濡れた路面で摩擦力を保つ性能に優れる)をシリカ分散剤と呼ばれる薬剤によってタイヤの中に均一に分散することで得られる性能だ。加えて、横浜ゴムが特許を取得している「オレンジオイル」を配合したことでしなやかさが増すため、路面状況が変化してもタイヤが路面をしっかりとつかみ、確かなグリップ力が継続する。

一方、個人所有の愛車であるND型ロードスターには、新車装着タイヤとしてこのV105(195/50R16)が装着されていた。

大きな釘が2本も刺さってしまったタイヤ(筆者撮影)

実はCクラスのタイヤ交換直後、ロードスターの右前タイヤに大きな釘が2本も刺さってしまう事象が発生! 幸い発見が早かったことで空気漏れを起こす前にタイヤを修理することができたのだが、傷口は深くホイールから外してタイヤの裏側から処理を行う必要があった。

その後、修理そのものは問題なく終了したのだが、2カ所の修理に際し、タイヤの重量バランスに変化が生じてしまった。そこでバランス取りの上でバランスウエイトを貼付け、さらにタイヤを前後で入れ替えるなど対処したのだが、高速走行時にステアリングがぶれてしまう現象は一向に収まらず……。

そこで思い切って4本ともV105に交換した。正直、痛い出費となってしまったが、Cクラスで実感した性能を再度、愛車のロードスターでも味わえるのかという興味もあり交換を行った。結果は大正解であり、わずか3年であるが新品との違いは大きく、路面からの衝撃に対するいなし方にマイルドさがよみがえった。3年の間に走行距離も重ねてきたので、車体/ダンパー/スプリング/ブッシュ類がこなれてきたことも、タイヤ本来のもつ性能がよりダイレクトに伝ってきた要因だろう。

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